1997 Fiscal Year Annual Research Report
CAPD患者の腹腔炎症細胞のAGE化が腹膜硬化に及ぼす影響
Project/Area Number |
09770856
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
本田 一穂 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10256505)
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Keywords | CAPD / AGE / 除水不全 / サイトカイン |
Research Abstract |
本年度はCAPD患者の腹膜組織のadvanced glycation end product(AGE)沈着と腹膜線維化との間連性を明らかにした。 1.CAPD腹膜のAGE沈着と腹膜線維化に関する検討 CAPD離脱症例(17例)の腹膜生検組織を抗AGE抗体(6D12)を用いて病理組織学的に検討した。除水不全を呈した患者の腹膜では、間質の線維化に加え細静脈の硝子様硬化病変が高率にみられた。抗AGE抗体(6D12)による免疫染色では、間質の線維化ならびに血管硬化病変にAGEの沈着がほぼ全例にみられた。組織病変の半定量的解析ではAGEの沈着の程度と間質の線維化・血管硬化病変の進行度とは正の相関関係が認められた。 2.腹膜線維化構成成分の検討 細胞外基質に対する抗体(typeI,III,IV,VI collagen,laminin,fibronectin)を用いて腹膜線維化構成成分を検討したところ、間質の線維化は主としてtype III collagenが陽性で血管壁の線維化はtype IV collagenとlamininが陽性であった。 以上の結果より、CAPD患者では高濃度のglucoseを含有する透析液の使用により、腹膜組織における細胞外基質蛋白成分(type III,type IV collagen,laminin)のAGE化が起こり、線維化を促進しているものと推察される。 次年度は腹膜組織ならびにCAPD排液中の炎症細胞や線維芽細胞において、線維化を捉進するcytokine(PDGF,TGFβ,TNFα,bFGF等)とそのreceptorの発現について検討し、AGE化と線維化進展におけるサイトカイン・メッセージの役割を明らかにしてゆく予定である。
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