1998 Fiscal Year Annual Research Report
CAPD患者の腹膜炎症細胞のAGE化が腹膜硬化に及ぼす影響
Project/Area Number |
09770856
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
本田 一穂 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10256505)
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Keywords | CAPD / AGE / 除水不全 / サイトカイン |
Research Abstract |
本年度はCAPD患者の腹膜組織ならびにCAPD排液中の炎症細胞のcytokineとそのrcceptor(R)の発現を中心に検討した。 1. CAPD腹膜のcytokineとそのreceptorの発現に関する検討 CAPD離脱症例(7例)の腹膜生検組織を抗IL-6,IL-6R,basic FGF,FGFR(BEK),TNFα,TNFαR,MIF,TGFβ,TGFβR抗体を用いて免疫組織学的に検討した。一部の症例(DM症例)の中皮細胞でFGFが陽性で、BEKは間質や血管壁の一部でわずかに陽性であった。IL-6,TNFα,TGFβ,MIFとIL-6R,TNFαR,TGFβRは陰性であった。(陰性の理由として使用抗体の特異性の問題が考えられる。) 2. CAPD排液中の炎症細胞のcytokineとそのreceptorの発現についての検討 CAPD排液中の浮遊炎症細胞の塗沫標本を作成し、上述の抗体を用いて免疫組織学的に検討した。中皮細胞とマクロファージ(Mφ)はFGF,TNFαならびにFGFR(BEK),TNFαRが陽性であった。その他、一部の中皮細胞でIL-6,IL-6R,TGFβRが陽性であった。一方、中皮細胞やMφは抗AGE抗体染色で陽性を呈した。 3. CAPD腹膜のマクロファージ浸潤とαSMAの発現に関する検討 腹膜凍結組織切片に抗CD68抗体(EBM-11)を用い、Mφの浸潤数を検討した。症例によりMφの浸潤数にばらつきが見られた。Mφの浸潤数と除水能との間には有意な相関は見られなかった。一方、αSMAは血管壁の平滑筋細胞や血管壁周囲間質ならびに間質の線維芽細胞で陽性であった。 結論:CAPD患者では中皮細胞や腹腔マクロファージにおいてFGFなどを中心とするcytokineが産生されている。これらはAGE蓄積によって促進される腹膜線維化や血管硬化の機序に関連している可能性がある。
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