1997 Fiscal Year Annual Research Report
常染色体優性遺伝型嚢胞腎(PKD1,PKD2)の遺伝子変異ならびにその機能解析
Project/Area Number |
09770857
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
望月 俊雄 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00277120)
|
Keywords | 嚢胞腎 / 変異 / PCR / SSCP |
Research Abstract |
【目的】常染色体優性遺伝性多発性嚢胞腎(ADPKD)は遺伝性腎疾患の中でも最も頻度の高い疾患で、その責任遣伝子としてPKD1遺伝子とPKD2遣伝子が同定されており、その頻度は欧米ではそれぞれ85%、15%を占めている。欧米では数十例の遣伝子異常がPKD1遺伝子の重複のない3'領域で報告されているが,本邦では我々が昨年度の本研究にて同定した一家系でのPKD1遺伝子エクソン40の61塩基の欠失のみである。そこで,本年度はPKD2遣伝子にも対象を広げ遺伝子異常の検索を行った。【対象・方法】家族歴、腹部エコー、CTscanなどによりPKDと診断された72症例を対象とした。PKD1,PKD2ともにゲノムDNAを解析できるように,イントロンにプライマーを設定し,解析条件を検討した後,患者末梢血液よりゲノムDNAを抽出し,Polymerase chain reaction(PCR)法およびSSCP(Single Stranded Conformational Polymorphism)法にて解析を行った。【結果】今年度は,現在のところPKD1,PKD2ともに新たな遺伝子異常を検出できなかった。【考察】72家系の患者をスクリーニングしているが,現在のところ一家系に異常が検出されたのみである。我々の結果ならびに欧米の報告を考えあわせると,PKD1遺伝子の重複のない3'領域における遣伝子異常は,意外と頻度としては高くなく,より解析の困難な5'側3分の2を占める重複領域に遣伝子異常が多く存在することも考えられる。このため,新たに解析方法の開発されたPKD1遺伝子の5'領域についても解析をしていく予定である。
|