1998 Fiscal Year Annual Research Report
小脳症形成過程における大脳皮質神経細胞の死と遊走障害
Project/Area Number |
09770865
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
澤田 和彦 徳島大学, 医学部, 助手 (10284324)
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Keywords | 小脳症 / X線 / FAS / 海馬 / 異所性苔状繊維 / Timm法 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
1. 胎生期X線被曝の影響 妊娠15日目のWistarラットにX線を単回全身照射(0.3、0.6、1.2、及び1.8Gy)した。生後6週齢で被曝ラットの海馬苔状線維をneo-Timm法により染色した。0.3Gy照射群ではCA-3a及び3bの上行層に異所性苔状線維が認められた。異所性苔状線維は照射容量に依存して増加し、1.8Gy照射群ではCA-3a、3bの上行層や錐体細胞層に広く分布していた。また、照射群では、錐体細胞層に層構造の乱れが認められた。 2. 胎生期アルコール曝露の影響 SDラットに妊娠10〜20日まで5%エタノールを含む液体飼料を与え、FAS(胎児性アルコール症候群)ラットを作製した。胎齢21日のFASラットでは大脳皮質の軟膜直下に異所性細胞塊、或いは皮質表層から深層に及ぶ深い溝が認められた。また、生後7週齢で抗NCAM(神経細胞接着分子)抗体を用いて免疫染色を行うと、海馬吻側部CA-3aの上行層と錐体細胞層でNCAM陽性帯状線維が異所性にみられた。 海馬の歯状回顆粒細胞の軸索(苔状線維)はCA-3の錐体細胞に投射する。CA-3錐体細胞は胎齢14〜19日に発生するのに対し、顆粒細胞は生後に発生する。1.と2.の結果から、胎生期のX線被曝及びアルコール曝露によりCA-3錐体細胞層の層構造に乱れが生じ、生後形成される苔状線維の分布に異常が生じたと考えられる。今回は海馬を中心に調べたが、2.の実験から、FASラットの大脳皮質にも組織構築異常が認められ、アルコール曝露による神経細胞の遊走障害が示唆された。今後は、その発生機序の解明を進め、小頭症形成過程について研究を発展していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sun,X-Z.,Inouye,M.,Fukui,Y.,Hisano,S.Sawada,K.,Muramatsu,H.,Muramatsu,T.: "An immunoshistochemical study of radial glial cells in the mouse brain prenatally exposed to r-irradiation" Journal of Neuropathology and Experimental Neurology. Vol.56,No.12. 1339-1348 (1997)
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[Publications] Miki,T.,Sawada,K.,Sun,X-Z.,Hisano,S,.Takeuchi,Y.,Fukui,Y.: "Abnormal distribution of hippocampal mossy fibers in rats exposed to X-irradiation in utero" Developmental Brain Research. Vol.112,No.2. 275-280 (1999)