1997 Fiscal Year Annual Research Report
救急隊搬送時の心肺蘇生法実施状況の調査と対象傷病者の予後調査
Project/Area Number |
09770891
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福岡 敏雄 名古屋大学, 医学部, 助手 (80260595)
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Keywords | 救急体制 / 院外心肺停止 / 心肺蘇生 / Utstein集計 |
Research Abstract |
【研究の方法と結果】1996年の名古屋市の各救急隊の搬送記録をもとに、心肺停止傷病者に関してUtsteinに基づく集計を行い、退院時生存率まで検討した。この結果、1996年に搬送した心肺停止傷病者は1190例であった。そのうち、51%(607/1190)が心原性であった。心原性心肺停止のうち、目撃された心肺停止症例は68%(412/607)であった。このうち、心電図上心室細動と判定されたものは9%(39/412)であった。全体の退院時生存者は79/1190(6.6%)であった。心原性の退院時生存症例は30/607(4.9%)であった。心原性で目撃された心肺停止症例では生存者は25/412(6.1%)であった。心原性/目撃/心室細動の3条件を満たす39例のうち退院時生存例は4例(10%)であった。 【考察と今後の研究の展開】欧米の報告では生存率が高いとされていた心原性/目撃/心室細動の3条件を満たす症例は全体の3%(39/1190)しかなく、退院時生存率も全体に比べて統計学的な有意差はなかった。また、心電図電送による心電図の確認が行われたのは心原性心肺停止症例の43%(181/412)であり、心室細動と判断され、実際に除細動が施行されたのは74%(29/39)で、退院時生存者の4例はすべて除細動がなされていた。今後は心肺停止傷病者の心電図記録を確実にし、除細動も指示の簡略化などの対策が必要である。この研究成果に基づき、名古屋市消防局救急隊の協力を得て、平成10年3月から、心電図記録の徹底と除細動の指示の簡略化を行い、このことが心肺停止症例の予後の改善につながるかどうか検討することとした。なお、この研究成果は、平成10年6月の第1回日本臨床救急医学会で発表する。
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