1997 Fiscal Year Annual Research Report
静脈からのみの血流で生着させた再接着組織内の微小循環に関する研究
Project/Area Number |
09770892
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 義久 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30243025)
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Keywords | 静脈皮弁 / 微小循環 |
Research Abstract |
(方法)まず何も操作を加えていない正常状態のチェンバー内微小循環をビデオモニターした。麻酔後、中心動静脈をいったん離断し、近位側の中心動脈と末梢側の中心静脈を吻合した。前辺縁静脈は結紮した。従って血液は中心静脈より逆行性に動脈血が耳介へ流入し、後辺縁静脈より流出することになる。軟部組織を縫合し、創を閉鎖した。術後6時間完全に麻酔から覚めてから循環を再度モニターした。次に中心静脈を移植組織内近位1/3で結紮した。この結紮により中心静脈内の血液の逆行を完全に遮断したことになる。中心静脈結紮直後と5日目の循環をモニターした。なおこの実験に使用した家兎は3匹である。(結果)中心動静脈瘻より動脈血を流入させ、後辺縁静脈より還流させる手術を施行することによりチェンバー内の血流方向が変化するものもあったが、全例血流は安定していた。中心静脈近位1/3結紮後も6匹のうちの2匹には結紮前後で何の変化も認められなかったが、残りの4匹では突然血流の方向が逆になった血管(細動脈、細静脈、毛細血管、動静脈吻合)を認めた。つまり同一のチェンバー内の血管でも結紮によって流れの方向の変わるものも変わらないものもあった。(考察)この実験結果で注目すべき点は次の点である。(1)移植組織への血液の流入、流出血管を共に静脈にとっても良好な条件下の移植組織内では動脈系にも毛細血管にも血流は存在している。(2)流入静脈、流出静脈を同一にしても、チェンバー内に観察される血液が、1.血流安定群、2.血流不安定群、3.血流を全く認めない群に分かれてしまったのは何故だろうか。流入動脈圧の固体差、静脈分布(走行)パターンの固体差が考えられるが、振り替えって考えると、特に前者が大きな原因の一つではないかと考えている。
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