1998 Fiscal Year Annual Research Report
静脈からのみの血流で生着させた再接着組織内の微小循環に関する研究
Project/Area Number |
09770892
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 講師 (30243025)
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Keywords | 静脈皮弁 / 微小循環 |
Research Abstract |
〈動静脈瘻を血液流出路として用いる方法〉 この実験の目的は、流入流出血管を共に動脈とした場合移植組織内の毛細血管、静脈系には血流は存在するのか否かを明らかにすることである。ラビットの中心動脈から動脈血を流入させ前辺縁動脈より前辺縁静脈へ還流させる群(A)(12羽)と前辺縁動脈から動脈血を流入させ中心動脈より中心静脈へ還流させる群(B)(10羽)を作成した。次に上記血管以外の組織の連続性を遮断し、術後6時間目の循環を術前と比較した。<結果> (A):全例で術前の微小循環系のリズミカルな変動は消失したが、細動脈、細静脈、動静脈シャント、毛細血管の血流は良好で安定していた。実験Iと違って、観察される全ての血管で血流の方向は術前と同じ順方向であった。(B):術後全例でチェンバー内の全ての血管に血球成分は認められなかった。 <考察> この実験で注目すべき点は次の3点である。(1)移植組織への血液の流入、流出血管を共に動脈にとっても(A)群においては動脈系だけでなく静脈系、動静脈シャント、毛細血管にも血流は存在していた。(2)(B)群では、流入流出動脈を入れ替えたのみであるのに術後の微小循環は全く存在しなかった。中心動脈に比べて前辺縁動脈は支配領域が狭いためではないだろうか。(3)(A)群で順行性(動脈系より静脈系へ)の血流しかチェンバー内に認められなかったのは何故だろうか。流出血管が動脈であるからには静脈系へ入った血液はどこかで静脈系より流出動脈系へ逆行性に流れ込まなければならない。しかし、前辺縁動脈の支配領域が狭いと考えると、チェンバー装着部(耳介末梢部)の血流がすべて順行性であることも説明し得るのではないだろうか。
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