1998 Fiscal Year Annual Research Report
EGF受容体を分子標的としたリコンビナント蛋白による新しい血管病変治療の試み
Project/Area Number |
09770902
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 靖夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20265846)
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Keywords | 分子標的 / EGFR / RNase / 血管平滑筋細胞 / 術後血管再狭窄 |
Research Abstract |
1. PTCA,CABG,他の末梢血管手術において術後血管再狭窄が問題となっている.これらは血管平滑筋細胞による血管内膜の細胞浸潤によると言われている.内膜の増殖には,EGF,FGF,PDGFなどの増殖因子が関与され,またRNAの分解酵素であるRNaseは,細胞外から導入されるとタンパク合成を阻害すると言われている.ヒト生理活性物質遺伝子のみから作成したヒトNase-ヒトEGF融合タンパクを用いて,ラットおよびヒトの血管平滑筋細胞の増殖抑制を試みた. 2. PCR法によりヒトEGFcDNAを増幅し,そのN末端部分とあらかじめクローニングされたヒト膵RNase-cDNAのC末端部を結合させ,発現ベクターに組み込んでプラスミドpRNEGF1を作成した.これを宿主大腸菌BL21DE3株で発現させ,精製して融合蛋白hpRNase-EGFを得た.ラットの胸部大動脈,CABG時に採取したヒトの大伏在静脈および内胸動脈由来の血管平滑筋細胞をout growth法により培養し,得られたサンプルを投与して増殖抑制効果を評価した.評価の方法としては,96ウェルプレートに各ウェル5000の平滑筋細胞をプレーテイングし,24時間後にサンプルを加え,72時間培養後の標識サイミジンの取り込みを指標とした. 3. ヒトNase-ヒトEGFは対照として用いたEGFレセプター非発現細胞の標識サイミジン取り込みを抑制しなかったが,EGF過剰発現細胞の標識サイミジン取り込みを抑制した.また,ラットの胸部大動脈平滑筋細胞,ヒトの大伏在静脈および内胸動脈由来の血管平滑筋細胞の標識サイミジン取り込みを抑制した. 4. EGFレセプターを分子標的としたヒトNase-ヒトEGFによる新しい抗血管再狭窄治療の可能性が示唆された.
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