1998 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮由来一酸化窒素を介する大動脈内バルーンパンピングの冠循環改善効果の評価
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09770925
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Research Institution | Kawasaki College of Allied Health Professions |
Principal Investigator |
松本 健志 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (30249560)
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Keywords | 心筋微小血流分布 / 一酸化窒素合成阻害 / β_1ブロック / 分子血流トレーサ / デジタルラジオグラフィ / 貫壁性 |
Research Abstract |
大動脈内バルーンパンピング(IABP)においては、心筋仕事量の軽減と拡張期の冠灌流圧増加、さらにポンプ作用による冠循環拍動性の増強による血管拡張因子_一酸化窒素(NO)_の産生増加がもたらされる。しかし、これらの作用の心筋灌流への局所的な影響は明かではない。そこで、IABPの心筋微小循環への関与を評価するため、放射性分子血流トレーサ法と定量デジタルラジオグラフィ(分解能:100pixels/mm^2)を利用して、麻酔下のウサギを対象に、コントロール群、NO合成阻害群、心筋収縮性低下群の各々において左室心筋微小循環を心内膜側(Endo)と心外膜側(Epi)で計測し、以下の結果を得た。 コントロール群:Endoの血流分布はEpiに比べて、全体的には不均一性は高く、微視的には類似性が認められた。また、局所血流相関値から、血流分布がおよそ0.4mmx0.4mmの心筋領域を単位として構築されていること、すなわちこのサイズが機能的血流調節の最小単位であることが示唆された。 NO合成阻害群:LNMMAによるNO産生阻害は、冠血流減少とともにEndo、Epiとも微視的な血流類似性の増強をもたらし、特にEndoにおいて顕著な血流クラスタリングを生成した。これより、NOの冠循環における役割は冠血流量の維持とともに、特に易虚血性を示すEndoにおいて心筋灌流に大域的な偏りが起こらないように血流分配する点にあると考えられた。 心筋収縮性低下群:β_1ブロッカー(atenolol)による負の変力性作用は、Endoでのみ血流類似性を減少させた。これは、Endoの酸素需要低下に基づいた同層における冠細動脈トーヌスのローカルなバランス変化によるものと推定された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Matsumoto et.al.: "Pattern-Regulation of Microregional Flow in Myocardium" Heart Symposium Okayama'97. Proceedings. 62-63 (1997)
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[Publications] T.Matsumoto et.al.: "Spatial Fluctuation of Regional Myocardial Blood Flows" Meth.Inform.Med.36. 254-256 (1997)
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[Publications] T.Matsumoto et.al.: "Spatial Pattern of Myocardial Blood Flow During Afterload-Pressure Increase" Microcirculation Annual. 13. 135-136 (1997)
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[Publications] Y.Matsuzaki et.al.: "Experiments on Steady and Oscillatory Flows at Moderate Reynolds Numbers in a Quasi-Two-Dimensional Channel With a Throat" ASME J.Biomech.Eng.120. 594-601 (1998)
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[Publications] T.Matsumoto et.al.: "Nitric oxide blockade reduces local randomness of microregional myocardial blood flows-Digitalradiographic study using a molecular deposition marker-" Circulation. 98・17(Suppl.I). 488 (1998)
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[Publications] 松本健志他: "低酸素潅流時における心筋微小循環調節-局所血流のランダム性評価による心筋微小循環単位の推定-" 脈管学. 39・3. 121-124 (1999)