1997 Fiscal Year Annual Research Report
最小侵襲外科と管腔内視鏡の協調による新しい胃粘膜切除術の開発
Project/Area Number |
09770932
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金平 永二 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (10251951)
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Keywords | 胃粘膜切除術 / 早期胃癌 / 内視鏡的粘膜切除術 / 腹腔鏡下胃内手術 |
Research Abstract |
【目的と方法】本年度の研究では,雑種成犬の摘出胃を用いて,大きな一括粘膜切除を可能にするための独自に考案した手技開発をおこなった.第1に,スネアを止血クリップにてターゲット周囲に固定しスリップを防ぐ方法を試みた.第2の方法は,ターゲット粘膜の粘膜下層中央でターゲットを手前から横断するように細径の中空針を刺入する.針の先端をターゲットの対側で粘膜面に出す.もう一本の針を先の針と平行に,ターゲットの右端から少しはなれた位置の正常な粘膜下層に刺入し,2mm前方で再び粘膜面に出す.この状態でターゲット下面中央の針は約4cmの長さで,ターゲット右側の針は2mmの長さで粘膜下層内に潜っている.一方の針の内腔から細径ワイヤーを挿入し先端から出てきたところを,もう一方の針に挿入したスネアにて捉えその針の内腔に引き込む.スネアを閉じて通電すると,ターゲットの半分が切開できる.残りの左半分も同様の手技で切除する,というものである.【結果】第1の方法は用手的には可能であったが,内視鏡を用いて試みたところ作用線が接線方向となり,煩雑で不確実であった.またクリップから漏電する現象が起き,切開時間が長く周辺粘膜の損傷が生じた.第2法で用いる器具はまだ内視鏡用に改良できていないので,用手法のみで実験を行った.ワイヤーをターゲットの下面半分にかけるところまでは円滑に行えた.ワイヤーを閉じる段階で十分小さな円にならなかったので,切開電流が十分流れず切除に時間を要した.切除後の欠損は横長になる傾向が強く,針を刺入する時点で考慮する必要があった.ターゲットの残り半分の切除時に中央に刺入する針の位置が不確実となる場合があった.しかしこの方法で成功した場合,直径4cm程度の一括粘膜切除が任意の範囲で行えた.以上のいくつかの問題点を改良すべく今後実験を続けていく.
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