1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝腫瘍に対する局所活性酸素誘導療法の抗腫瘍効果の機序解明
Project/Area Number |
09770937
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山野井 彰 島根医科大学, 医学部, 助手 (70281152)
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Keywords | Oxygen free radical / Ischemia / Liver cancer / Apoptosis |
Research Abstract |
切除不能肝癌に対する肝動脈反復遮断療法は、腫瘍組織の阻血再灌流によって発生する活性酸素の細胞毒性理論に基づく独創的な癌治療法である。本年度はさらに症例を重ね、計42例に本療法を施行した。内訳は、原発性肝癌17例、転移性肝癌25例(大腸癌12例、胃癌10例、膵癌2例、胃カルチノイド1例)で、補助的に本法を行った2例を除いた残り40例を分析の対象とし、以下の知見を得た。 平均年齢62.1歳、男女比2:1。本法施行平均期間は4.2±4.3カ月で、平均生存期間は10±9.6カ月であった。死因は肝癌死7例、肝外癌再発19例、合併症または癌腫増大による在院死9例、硬変肝による肝不全死3例、その他1例であった。判定可能な32例中18例(56.3%)に癌腫の縮小を認め、PR症例が7例であった。PR7例中4例が胃癌転移症例であった。奏功度と生存期間に有意な相関を認めたが(P=0.0016)、腫瘍マーカーの低下と生存期間とに相関はなかった。合併症は硬変合併肝細胞癌に有意に多く認められた(P=0.0086)。合併症併発在院死例を除いた胃癌肝転移症例において、生存期間と本法施行期間とに有意な相関を認めた(P=0.0060)。本療法は切除不能肝癌患者の肝内癌腫増大を抑制するという天で有効な治療法と考えられた。今後の課題として、適応疾患の選択、肝外再発抑制の必要性が挙げられた。 局所活性酸素誘導による抗腫瘍効果の機序として、好中球の血管内皮障害とアポトーシス誘導に着目し、肝阻血の前後で経時的に採取された白血球細胞表面の接着分子のため、CD11a、CD11b、CD18の活性化の経時的変化と腫瘍血管内皮障害との関連、アポトーシス誘導因子(TGF-β1、c-myc、ICE、Bax、Fas)および抑制因子(Bcl-2)の発現について現在検討中である。
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