1997 Fiscal Year Annual Research Report
新しい染色体解析法(CGH法)を用いた胃癌の染色体異常の解析と遺伝子診断への応用
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09770948
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
阪倉 長平 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10285257)
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Keywords | 胃癌 / 染色体異常 / CGH |
Research Abstract |
申請者らは、乳癌、膀胱癌など固形腫瘍の染色体異常をFISH法にて解析し、良悪性境界病変の診断や悪性度診断に応用してきた。臨床病理学的診断と比較検討することで乳癌、膀胱癌いずれにおいても95%以上の高い正診率を得られる新しい癌遺伝子診断法として臨床でも用いられつつある。 染色体の過剰、欠失及び遺伝子増幅としてその遺伝子座を同時に検出しうる新しい手法であるComparative genomic hybridization(CGH)法を標準化することに成功した。そして発癌過程、遺伝子、染色体変化が未だ明らかでない胃癌の臨床検体58例の病型特異的染色体異常を解析した。これまでの結果では、従来のLOH解析などでは明らかでなかった胃癌に特徴的なゲノム異常を複数箇所同定した。進行胃癌の約10%に8番染色体(8p23.1)の新規増幅領域を認め、未分化進行胃癌で見られる変化であることより、この新規遺伝子増幅は胃癌の進展、悪性化に関与していると考えられた。これまでに8p23.1の16種のESTマーカー、62種類のcosmid cloneを検索し、この増幅領域に既知の遺伝子を1個、新規増幅遺伝子の断片3種同定した。これを用いてcDNAライブラリーのスクリーニングを行いつつある。 術中腹腔微小癌転移巣の迅速染色体遺伝子診断を可能とするため迅速FISH法を確立した。この方法ではサンプル採取からシグナル検出まで約2時間以内で終了する。従来の細胞診でclass 1-3と判断されていた胃癌手術症例でも染色体異常の認められる症例があり、胃癌などの消化器癌の微小腹膜播種細胞の検出に導入可能であり、その実地臨床での有用性が証明された。
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[Publications] Sakakura,C et al.: "Increased apoptosis rats by hyperthermochemoradio therapy for advanced rectal cancers" Surgery Today. 27. 773-776 (1997)
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[Publications] Sakakura C et al: "Overexpression of bax sensitizes breast cancer MCF-7 cells to cisplatin and etoposid" Surgery Today. 27. 676-679 (1997)