1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期関連遺伝子導入法を用いた食道扁平上皮癌の転移機序の解明と治療への応用
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09770957
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹内 裕也 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (20265838)
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / p16 / 化学療法 / 放射線療法 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
細胞周期関連遺伝子p16、cyclin D1と食道扁平上皮癌のリンパ球、他臓器転移との関連に着目し、遺伝子工学的手法を用いてp16遺伝子欠失を有する食道扁平上皮癌細胞株にp16遺伝子導入株を、もしくはcyclin D1遺伝子導入によりcyclin D1遺伝子増幅株を作製し、細胞増殖速度、転移能の変化と化学放射線併用療法に対する感受性の変化を観察し、食道癌遺伝子治療の臨床応用への可能性を探る。 1.ベクターとしてプラスミドpcDNA3にヒト野生型p16遺伝子を組み込んだプラスミドpCDKN2WTと,コントロールとしてpcDNA3を用いた.pCDKN2WT,pcDNA3を大腸菌内で増殖させ,これらを抽出した.大腸菌より抽出したpCDKN2WTは制限酵素を用いて,p16遺伝子が含まれていることを確認した. 2.Lipofection法を用いて発現株(COS7)に遺伝子導入を行い,Western blotting法によりp16発現を確認した.次いで食道扁平上皮癌細胞株TE series(TE2,6,8,9)に遺伝子導入を行い,TE8でWestern blotting法によりその発現を確認した. 3.p16遺伝子導入株(pCDKN2WT導入株)はp16遺伝子欠失株(pcDNA3を導入した親株)より増殖速度が遅くなる傾向にあった. 4.現在,p16遺伝子導入株とp16遺伝子欠失株に対する各種抗癌剤(CDDP,ADR,5-FU)感受性を比較検討中である.またp16遺伝子導入は導入効率が一定でないため,より安定した発現株を作成中である. 5.ヒト食道癌臨床検体で検討したところ,p16発現を認める症例で化学放射線療法が著効する傾向にあった.p16遺伝子導入株で抗癌剤感受性が上昇することが期待される.
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