1997 Fiscal Year Annual Research Report
昇圧化学療法における腫瘍血管の薬剤反応性の観察;至適昇圧剤の選択-放射光を用いた微小血管造影法と蛍光X線分析法による評価ー
Project/Area Number |
09770961
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石過 孝文 東海大学, 医学部, 助手 (70276822)
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Keywords | 放射光 / 微小血管造影 / 腫瘍血管 |
Research Abstract |
担癌ラットと担癌マウスによる,放射光微小血管造影を用いた,腫瘍の血管造影,及び血管造影による腫瘍血管の薬剤反応性の観察を行った。対象のラットはDonryu系ラットを,マウスはBALB/c系マウスを使用した。腫瘍の移植は,ラットでは右大腿部に腫瘍細胞(LY80)2×10^6個を皮下に注入し移植し,移植後10日,10〜20mm大に成長した時点で単色放射光(33.3KeV)を線源とした微小血管造影を行った。マウスでは右腋窩部に腫瘍組織(colon26)の3mm大の腫瘍組織片を皮下組織内に移植し,移植後14日,15mm〜20mmに成長した時点で同様に血管造影を施行した。 担癌マウスの微小血管造影では,腫瘍辺縁より屈曲蛇行しながら腫瘍内に流入し,腫瘍辺縁に沿ってひろがる血管網を観察し得た。これらの血管は壁の不整を伴い,微小な動静脈シャントも伴っていた。観察可能であった腫瘍血管の最小径はReferenceの径130μmの銅線との比較から約50μmであった。病理組織学的検索では新生血管が腫瘍内で不均一に分布し,腫瘍中心部に壊死巣を確認した。腫瘍は豊富な腫瘍血管を伴っており,腫瘍血管径は30μmから60μmのものが多数を占め,血管壁は一層の内皮層からなる毛細血管様の構造を呈する幼弱な血管構造であった。担癌ラットの血管造影では,アセチルコリンを投与することで非癌部の正常な血管は著明な血管径の拡張が観察されたが,腫瘍血管の血管径に明らかな拡張像は観察されなかった。新生血管の幼弱な血管構造と血管造影の所見から,血管拡張剤であるアセチルコリンに対する癌新生血管の反応性の不良が示された。
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