1997 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する自殺遺伝子治療とこれに続く肝内抗腫瘍免疫能の賦活に関する研究
Project/Area Number |
09770967
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
三澤 健之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50260956)
|
Keywords | 遺伝子治療 / 自殺遺伝子 / 消化器癌 |
Research Abstract |
1.細胞培養 DHDK12は1,2-dimethylhydralazineによって誘導されたBDXIラット由来の大腸癌細胞株で,10%FBS加DMEM(Dullbecco's modified Eagle's medium)を用いて175cm^2フラスコ内で単層培養している. 2.遺伝子(HS-tk)導入 DHDK12に単純ヘルペスウィルス由来のチミジンキナーゼ産生遺伝子(HS-tk)をレトロウィルスベクター(G1Tk1SvNa.7)を用いて導入した.癌細胞がフラスコ内でsubconfluenceに達したところでベクターを加え,2時間37℃でincubateした.G1Tk1SvNa.7には同時にネオマイシンに対する耐性を与えるNeoR遺伝子を有しているため,HS-tkと同時にNeoRを導入された癌細胞はネオマイシンアナログであるG418に耐性を持つようになる.これを利用し,遺伝子導入後,培養系にG418を加え,遺伝子を導入された癌細胞だけを選別した.遺伝子を導入された細胞をTK+DHDK12,導入されていない親株をTK-DHDK12とした.遺伝子導入効率を調べる目的でreporter gene(βガラクトシダーゼ遺伝子)を導入し,X-gal染色を行った。導入効率は10-15%であった。 3.ganciclovir(GCV)に対する感受性試験 HS-tkを導入することにより癌細胞のganciclovirに対する感受性は亢進する.TK+DHDKとTK-DHDK12(親株)のGCVに対する感受性を比較するために,それぞれ,GCV濃度の上昇系列(0.0001μg/ml〜100μg/ml)で8日間培養し,細胞数を測定した.これによりGCVの癌細胞に対する50%致死量(LD_<50>)を求め,両者で比較することによりTK+DHDK12のGCVに対する感受性の亢進を調べた。それによると,in vitvoにおいて,HS-tkを導入にすることによりDHDK12のGCVに対する感受性は導入前に比べて約300倍亢進することを示した. 4.動物実験 動物実験においては安定したラット腹腔内播種モデルと肝転移モデルの作製に成功した.現在,ラット腹腔内播種モデルにおいて,HS-tkを導入した腫瘍に対するGCV(100mg/kg/day,12日間)の腹腔内注射による腫瘍抑制効果を検討中である。
|