1998 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における腫瘍内血管増殖制御因子VEGFの発現,腫瘍内新生血管密度とその臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
09770975
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
長谷川 茂 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40271390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 洋一 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (60170651)
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Keywords | 大腸癌 / 第VIII因子関連抗原 / ラミニン / VEGF |
Research Abstract |
大腸癌原発巣切除例例120例を対象に、第VIII因子関連抗原に対する抗体を用いた免疫組織化学的染色を行い、組織中の微小血管を同定した。大腸癌組織内における微小血管密度(TMVD)および腫瘍浸潤先進部間質組織における微小血管密度(SMVD)を算出した。高密度群(1視野あたり40未満)、低密度群(1視野あたり40以上)として検討した。また抗ラミニン抗体を用いラミニンの発現も同時に検討し、癌細胞の接着性の変化、微小血管増生との関連、これらの予後因子としての意義を検討した。また遠隔成績との関連をCoxの比例ハザードモデルを用いた生存分析を行い、従来の臨床病理学的因子とともに遠隔成績に影響する因子の重みを比較した。TMVDは高密度と低密度群の間で遠隔成績に有意差を認めなかったが、SMVDはラミニン発現減弱症例に限り高密度群が低密度群に比較し有意に予後不良であった(p<0.05)。大腸癌組織におけるラミニンの発現滅弱症例のハザード比(HR)は2.11(95%CI:1.08-4.12)でリンパ節転移のHR 3.23(95% CI:1.70-6.17)に比較し低かったが有意な予後因子であった(P<0.05)。ラミニンの発現滅弱かつ周辺の間質組織のMVD高密度群でのHRは2.86(95%CI:1.25-6.55)とさらに予後不良であった(p<0.05)。これらの結果より、ラミニンの発現および周辺間質組織のMVDは他の臨床病埋学的因子とは独立した大腸癌の予後因子でありラミニンの発現とともにSMVDが大腸癌の重要な予後因子であると考えられた。 以上の結果をもとに本年度はヌードマウス可移植性胃癌株SC-1-NUを用いて血管新生抑制因子TNP-470を投与すべく実験モデルの基礎的実験を行った。ヒト癌腫瘍は、胃癌株のSC-1-NU(組織型:低分化腺癌)であり、腫瘍移植2〜3週後、推定腫瘍重量が100-300mgに達した時点でヌードマウスをA群)対照群:生理食塩水(0.2ml/body)5日/週、B群)5-FU(20mg/kg)5日/週、C群)TNP-470 30mg/kg 1日おき5回投与の計3群に分け、これらの投与スケジュールを1クールとし、薬剤を腹腔内投与した。SC-1-NUは4クール(各群5匹)をそれぞれ施行した。治療効果は対照群のRW(RW_c)に対するの治療群のRW(RW_t)の比であるT/C比(%)により評価した。化学療法終了後ヌードマウスを犠死させ腫瘍を摘出しホルマリン固定後、CD-34(抗マウスCD-34抗体、藤沢薬品)に対する抗体を用いた免疫組織学的染色を行った。HE染色標本を作成した。CD-34染色により認識された腫瘍内の微小血管密度の結果は現在解析中である。
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