1997 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌におけるテロメラーゼ活性発現の意義と治療への応用
Project/Area Number |
09770978
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山道 啓吾 関西医科大学, 医学部, 助手 (70291804)
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Keywords | 食道癌 / テロメア / テロメラーゼ |
Research Abstract |
染色体の末端テロメラ構造を安定に保つ酵素テロメラーゼは、細胞の不死化に伴って活性することが知られており、近年、細胞の腫瘍化との関連が注目されている。1994年、ShayらによりPCRを利用した簡便なテロメラーゼ活性測定法(TRAP assay)が確立されて以来、種々の癌腫で検討され、多くの癌細胞や固形癌にこのテロメラーゼ活性が存在することがわかってきた。しかし、食道癌についての報告は少なく、本研究の目的は、食道癌の臨床材料を対象にテロメラーゼ活性の発現の意義を検討し、さらに抗癌剤との関連を検討することで食道癌治療へ応用する可能性を模索することにある。 本年度においては,15例の食道癌を対象に手術標本について検討を行った。すべての症例においてテロメラーゼ活性が認められた。また、全例においてテロメア長の短縮が認められた。テロメラーゼ活性と臨床病理学的検討では、残念ながら臨床病理学的諸因子とテロメラーゼ活性の間には有為な相関は得られなかった。しかし、テロメア長の短縮によりテロメラーゼ活性が亢進する傾向があった。生検材料についての検討では、生検材料に含まれるインヒビターや採取条件の影響のためか癌においてもテロメラーゼ活性が得られないものもあり、結果は安定しなかった。一方、正常粘膜や過形成の部位においてテロメラーゼ活性の亢進が認められた症例もあり、これは興味深い結果と思われた。いずれにしろまだ症例数が少なく、今後、安定した結果が得られるように採取方法や条件を工夫し、症例を重ね、検討する必要があると思われた。
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