1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝阻血再潅流前後におけるエンドセリン受容体の局在ならびに発現動態に関する研究
Project/Area Number |
09770981
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
安井 智明 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10291816)
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Keywords | liver, / Ischemia, / Reperfusion, / Endothelin-1, / Endothelin-A receptor, / Endothelin-B receptor, / Histocytochemistory |
Research Abstract |
【目的】 肝臓外科で実際肝切除に付加する肝阻血前後でET-1の結合部位ならびにET-A、ET-B受容体の局在と発現動態を、形態学的(超微細形態学的)に検討する。【対象と方法】肝阻血再還流モデル:肝門部で60分間肝左葉血行遮断を行い、血行再開前、再開後5分、60分の肝を採取。ET-1の結合部位ならびにET-A、ET-B受容体の局在と発現動態を、各抗体をもちいて免疫組織化学的に、光顕ならびに電顕的に観察した。 【結果】 光顕免疫組織化学の結果、阻血前では、ET-1及びET_A、ET_Bは類洞壁細胞に陽性反応が見られ、肝細胞膜細胞間隙に陽性反応は見られなかった。ET_BはET_Aに比べて陽性反応が強い傾向を示した。小葉内分布ではzone-1はzone-3に比べて陽性反応が強かった。阻血再潅流後5分では、阻血前と比べET-1、ET_AならびにET_Bともにzone-1で陽性反応が増強し、zone-3では明らかな増加を認めなかった。阻血再潅流後においてもET_BはともにET_Aに比べて、陽性反応は強い傾向が見られた。再潅流後60分では、ET-1、ET_AならびにET_Bともに再潅流後5分と同等の陽性反応が見られた。 電顕免疫組織化学の結果、ET_Bの陽性反応は、類洞壁内皮細胞と伊東細胞の細胞膜に見られた。一部の肝細胞膜、特にDisse腔側の細胞膜に陽性反応が見られたがtight junctions側の肝細胞膜には陽性反応が見られなかった。ET_Aの免疫陽性反応は、伊東細胞と類洞壁内皮細胞にわずかに見られた。 【まとめ】 1.光顕免疫組織化学ではET-1、ET_AならびにET_Bは、肝類洞壁細胞に見られ、細胞間隙肝細胞膜には見られなかった。2.小葉内分布では、いずれもzone-3に比べてzone-1中心に発現がより強かった。3.ET_BはET_Aに比べて発現が強い傾向を認めた。4.阻血再潅流後、小葉内zone-1において、ET-1、ET_AならびにET_Bはいずれも肝類洞壁細胞に発現の増強が見られた。5.電顕免疫組織化学では、ET_Aは伊東細胞と類洞壁内皮細胞に、ET_Bは類洞壁内皮細胞と伊東細胞、一部の肝細胞膜(Disse腔側)見られた。
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