1997 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌組織からのHLA拘束性キラーT細胞株の樹立と癌退縮抗原遺伝子の同定
Project/Area Number |
09770984
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
唐 宇飛 久留米大学, 医学部, 助手 (60268901)
|
Keywords | 食道癌 / キラーT細胞(CTL) / HLA classI拘束性 |
Research Abstract |
[目的]我々は食道癌の摘出標本より採取した局所浸潤リンパ球(TIL)及び転移リンパ節リンパ球から細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導し、また誘導されたCTLの特異性について検討を加えた。 [方法]食道扁平上皮癌20症例(癌組織6例,転移リンパ節13例,癌性胸水1例)から採取したTILをIL-2(100U/ml、塩野義製薬)存在下で90日以上のlong term cultureを行いCTLを誘導した。蛍光抗体染色により、これらのCTLのphenotypeはCD3^+,CD8^+,TCRα/β^+、CD4^-であった。CTLのCytotoxicityはHLA-classIの明らかな各種癌細胞株を用いて、^<51>Cr-release assayで、またELASAによるIFN-γの定量と各種モノクローナル抗体によるBlocking試験を行った。さらに、癌細胞より作製したHLA-A2601とCw0102のcDNAを用いて、transfection実験を行い、細胞傷害性を測定した。 [結果]HLA-classI拘束性、腫瘍特異的CTLが合計5株樹立された。内訳は食道癌の転移リンパ節リンパ球より4株(HLA-A26とA33拘束性,2例;A24とA26拘束性,1例;A26拘束性,1例)、癌性胸水リンパ球より1株(HLA-Cw0102拘束性)であった。食道癌由来のCTLは食道や肺、頭頚部の扁平上皮癌細胞株に対してHLA-classI分子を一致した癌細胞株のみ、特異的に細胞傷害性を示し、胃、大腸の腺癌細胞株や正常の上皮細胞と線維芽細胞に対しては傷害性を示さなかった。 [結論]食道扁平上皮癌の局所や転移リンパ節に癌組織特異的なHLA classI拘束性CTLが存在しており、その拘束性にHLA-classI分子として少なくとも扁平上皮癌では A24,A33,A26及びCw0102分子に関係している可能性が示唆された。
|
-
[Publications] U.Toh, H.Yamana, etc.: "HLA Class I-Restricted and Tumor-Specific Cytotoxic T lymphocytes from Metatstatic Lymph Nodes of Esophageal Cancers." Cellular Immunology. 177. 137-143 (1997)
-
[Publications] U.Toh, H.Yamana, etc.: "ESTABLISHMENT OF HLA-CLASS I RESTRICTED AND TUMOR-SPECIFIC CTLs IN PATIENTS WITH ESOPHAGEAL CANCER." Biotherapy. 12(1). 57-61 (1998)