1998 Fiscal Year Annual Research Report
凍結保存が血管内皮細胞の抗原性に及ぼす影響についての基礎的研究
Project/Area Number |
09770989
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 稔 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40270871)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 凍結保存 / 主要組織適合性抗原 / 接着分子 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
【方法】手術時に採取した成人12人の健常な大伏在静脈より血管内皮細胞(EC)を得た。3代継代培養し、半数をプログラムフリージングの後、1週間液体窒素保存した(C群)。残りはさらに1代継代した(F群)。まず、両群の表面抗原(HLA,-A,B,C,HLA-DR)、接着分子(ICAM-1,LFA-3)の発現を、同種免疫で重要な役割を果たすIFN-γの添加によってどのように変化するかを検討した。また同種PBMCとの混合培養を行い、両群のECが示す抗原提示能を培養3日目のPBMC活性度(MTTアッセイ)、および培養後3・7日目の上清中のインターロイキン(IL)-2,6,8,10を定量することによって検討した。【結果】1.IFN-γを加えないで培養すると、両群ともHLA-DRの発現は認められず、表面抗原・接着分子の発現にも両群間で有意差は認められなかった。IFN-γを添加して培養すると、両群でともにHLA-A,B,C,HLA-DR,ICAM-1の発現が有意に上昇した。また、HLA-DR,LFA-3の発現についてはC群の方が有意に上昇していた。2.PBMCとの混合培養では、MTTアッセイで両群のECともPBMC活性化を示し、c群で有意に高い活性が認められた。また、培養上清中のIL測定では、3・7日目ともにIL-6およびIL-8の高い産生が認められ、いずれもC群で有意に高値を示した。旧-2は両群間で有意差を認めず、IL-10は両群とも検出されなかった。 【考察】ヒトECは凍結保存を受けることによって、同種免疫刺激能が増強されることが本実験より示唆された。これには抗原提示能の変化(IFN-γ添加によるHLA-DRおよびLFA-3の発現が有意に高い)が関与しているものと推察された。炎症性サイトカインの産生(IL-6,IL-8)が有意に高く、IL-2に有意差がみられないことから、非特異的免疫反応が両群の相違をもたらしていると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Minoru Ono et al: "Influence of cryopreservation on human vascular endothelial cell immunogenicity" Transplantation Proceedings. 30(7). 3915-3916 (1998)
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[Publications] Ming-Chung Lee et al: "Interferon γ-induced expression of HLA-DR and LFA-3 was enhanced by cryopreservation" Transplantation Proceedings. 30(7). 2964-2965 (1998)
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[Publications] Minoru Ono et al: "Influence of cryopreservation on antigen expression and immuno-genicity of human vascular endothelial cells" Transplantation Proceedings. 31(1/2). (1999)