1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍における低酸素細胞の増殖能と糖およびアミノ酸代謝に関する研究
Project/Area Number |
09771028
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
笹嶋 寿郎 秋田大学, 医学部, 助手 (40235289)
|
Keywords | 脳腫瘍 / 低酸素細胞 / 増殖能 / 糖代謝 / アミノ酸代謝 |
Research Abstract |
グリオーマ細胞株(U87,Hs683,C6)は10%FBS添加MEMを用いて単層培養し,Sigma Scan Proで計測された任意の3視野内の細胞数に基づいて細胞密度を算出して細胞増殖曲線を作成し,細胞増殖期が定常期であることを確認した.細胞増殖期が定常期と判定された腫瘍細胞への各トレーサーの取り込みは培養液から細胞内へのトレーサーの流入を示す速度定数K_1と細胞内流入が測定時間内に平衡状態に達するトレーサーについては細胞内集積量を反映するVolumedistribution(Vd)で評価した.10%FBS添加 MEMを四重標識したアミノ酸欠乏10%FBS添加MEM(^3H標識チミジン:0.1μCi/ml,^<18>F標識フルオロデオキシグルコース(^<18>F-FDG):0.5μCi/ml,^<99m>Tc標識DTPA:3μCi/ml,^<14>C標識合成アミノ酸:0.15μCi/ml)に交換し,5分から60分にわたって細胞と培養液を経時的に採取して細胞内および培養液中の各トレーサー濃度を液体シンチレーションカウンターで測定した.採取による障害細胞および細胞外腔へのトレーサーの集積は^<99m>Tc標識DTPAの集積を用いて補正し,真の細胞/培養液濃度比から速度定数K_1とVdを算出し,増殖能と糖代謝および合成アミノ酸トレーサーの集積の関連を解析した.^3H標識チミジンの集積速度はいずれの細胞株においても低酸素状態(2および5%酸素)で常酸素細胞(20%酸素)と比較して4および24時間目に低下したが,^<18>F-FDGの集積速度は4時間目に常酸素細胞の2〜5倍まで著しく増加し,24時間目では常酸素細胞の2倍程度までの増加にとどまっていた.^<14>C標識合成アミノ酸の取り込みはU87とHs683でいずれも低下したが,C6では4時間目に常酸素細胞の2〜4倍まで増加し,24時間目でも常酸素細胞の2倍程度まで増加していた.低酸素負荷によりいずれの腫瘍細胞も増殖能は低下し,^<18>F-FDGの集積は増加したが,^<14>C標識合成アミノ酸の取り込みは増加する細胞(C6)と減少する細胞(U87,Hs683)があり,低酸素細胞における糖・アミノ酸代謝および膜輸送の変動が示唆された.
|