1997 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経におけるEGFファミリーの発現と機能解析(脳虚血、神経細胞死におけるEGFファミリーの役割)
Project/Area Number |
09771033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三島 一彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00282640)
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Keywords | 脳虚血 / 神経細胞死 / 神経栄養因子 / EGF / ヘパリン結合性EGF様成長因子 |
Research Abstract |
Epideramal Growth Factor(EGF)ファミリーに属すHeparin-binding Epidermal Growth Factor(HB-EGF)の中枢神経での役割を解析するために、虚血脳における発現を検討した。脳虚血モデルはラットにおける一過性心停止モデルを用い、10分虚血の後再灌流し、2、6、12、24時間、3、7日の時点で動物を屠殺し、脳切片を作成した。HB-EGF cDNAより35S-UTPにて標識したRNA probeを作成して、mRNA in situ hybridizationを行い脳での発現の検討をおこなった。HB-EGFは、正常脳でも神経細胞、グリア細胞に広範囲に発現しており、虚血再灌流後に種々の部位でその発現が亢進した。海馬では歯状回、CA3 sectorで特に強く、また大脳皮質、小脳顆粒細胞でもその発現は著しく亢進した。しかし、虚血に最も脆弱な海馬CA1錐体細胞での発現亢進はなく、虚血による神経細胞死が生じた後に周囲のグリア細胞に発現が見られた。HB-EGFの中枢神経での役割はいまだ解明されていないが、虚血後に発現亢進が見られることによりストレスにより誘導される栄養因子であることが、本研究で明らかとなった。かつ、虚血脆弱性とも関連を有し、中枢神経において種々のストレスから脳を保護する役割を担っている可能性が示唆された。 平成10年度はEGFファミリーに属する他の栄養因子(transforming growth factor-α,EGF)及びEGF ReceptorについてもRT-PCRにてcDNA,RNA probeを作成して、HB-EGFの変化と比較検討する予定である。
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[Publications] Kawahara N, Mishima K, Higashiyama S, Tamura A, Kirino T: "Differential regulation of members of EGF family,Heparin-binding EGF-like Growth Factor (HB-EGF) and TGF-α、after cerebral ischemia" Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism. 17. S787- (1997)