1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳腫瘍におけるFasを介したアポトーシスとインターロイキン1β変換酵素の発現
Project/Area Number |
09771045
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 英志 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (80284694)
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Keywords | グリオーマ / アポトーシス / Fas / ICE / A.I. |
Research Abstract |
【背景】アポトーシスは個体発生において、組織、器官形成に重要な働きを持つが、癌の形成においては細胞のアポトーシス機構からの回避が関与していることが指摘されている。interleukin 1 β-converting enzyme(ICE)は、線虫の個体形成時のアポトーシスにおいて実行を担うとされる蛋白CED-3とホモロジーを示し、Fas-FasLシステムなど種々のアポトーシス機構に関与している。今回、ヒトグリオーマのアポトーシスにおけるFas及びICEの役割について検討した。【方法および結果】ヒト星細胞系クリオーマ組織切片にてTUNEL法にて腫瘍細胞のアポトーシス率(AI)を測定したが、low grade astrocytoma(LGA)の平均AI値はhigh grade astrocytoma(HGA)と比べ約6倍であり、またAI値が大きいほど患者の生存期間が長い傾向が見られた。次いでFasの発現を免疫染色法にてに検討したところ、LGA、HGA共ほとんどの症例で発現が認められたが、LGA及びanaplastic astrocytomaでは発現がdiffuseであったのに対し、多くのglioblastomaではFas発現は腫瘍内壊死巣周囲に局在しており,さらに同部位には多数のアポトーシスが検出された。ICE蛋白の発現も免疫染色法にて検討したが発現は認められなかった。凍結した腫瘍組織から蛋白を抽出し、購入した分光光度計にて蛋白量を測定した後、Western blotting法によりFas及びICEの発現を測定したが、免疫染色と同様の結果であった。【結論】ヒトグリオーマにおいて腫瘍細胞のアポトーシス機構が存在し、その中で腫瘍細胞自身のFas発現によるアポトーシスが重要な役割を果たしていることが示唆された。しかし、Fasを介したアポトーシスにおけるICEの役割については確認できなかった。
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