1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍に対する遺伝子変異ヘルペスウイルスを用いたin situワクチン療法の開発
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09771058
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸田 正博 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20217508)
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Keywords | 遺伝子治療 / 変異ヘルペスウイルス / ウイルスベクター / サイトカイン / IL-12 / GM-CSF / 腫瘍ワクチン / 抗腫瘍免疫 |
Research Abstract |
近年、悪性腫瘍に対する免疫療法の研究、開発が非常に進み、とくに現在まで米国で認可された癌遺伝子治療プロトコールの多くは、各種サイトカイン遺伝子を用いた抗腫瘍免疫療法である。しかしin vivoにおける遺伝子導入効率の優れたベクターがなかったなどの理由により、これまでほとんどの腫瘍ワクチン療法プロトコールは、腫瘍細胞を摘出し、サイトカイン遺伝子を導入した後、体内に戻すというex vivoアプローチであった。そこで今回我々は単純ヘルペスウイルスベクターを用いて、サイトカイン遺伝子を直接腫瘍内に導入することで抗腫瘍免疫を誘導する、in situ腫瘍ワクチン療法の開発を目的とした。 現在まで、主にサイトカイン遺伝子発現型ヘルペスウイルスベクターの作製を行ってきた。ヘテロダイマーであるIL-12に関して、p35,p40の二つの遺伝子をCMVプロモーター下にinternal ribosome entry site(IRES)を用いて組み込んだamplicon plasmid vectorを構築した。遺伝子導入した培養細胞からのIL-12発現を、ヘテロダイマーであるp70のみを認識するモノクローナル抗体を用いたELISA法により確認し、またGM-CSFに関しても同様に、CMVプロモーター下にGM-CSF遺伝子を組み込み、遺伝子導入した細胞からのGM-CSF発現をELISA法により確認した。さらにdefective herpes simplex virus vectorは、ヘルパーウイルスとして、ICP4の点変異株、非複製型のtsk変異ウイルス、およびICP6にlacZを挿入し、γ34.5欠損させた複製型G207変異ウイルス(分裂細胞の中でのみ複製する変異ヘルペスウイルス)を用いて作製中である。
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[Publications] Toda,M.,Martuza,R.L.,et al.: "In situ cancer vaccination:a defective IL-12/replication-competent herpes simplex virus vector combination induces local and systemic antitumor activity." J.Immunol.(in press).