1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771061
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
成田 考而 帝京大学, 医学部, 助手 (90237602)
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Keywords | 慢性硬膜下血腫 / 総脂肪酸 / ガスクロマトグラフィー / リノール酸 / 血腫再発 |
Research Abstract |
55例の慢性硬膜下血腫の内、血腫再発群5例と治癒群50例の間で脂質の総脂肪酸の相違をGLCで分析した。 慢性硬膜下血腫の患者より手術で採取した血腫を3000回転15分で遠心し、細胞成分を取り除き上澄みの液性成分を1mlとりBligh-Dyer法でクロロホルム-メタノール-血腫(1:2:0.8,by volume)で震盪し30分で室温に放置後、クロロホルム-メタノール-水(1:1:1,by volume)に成るようにクロロホルムと蒸留水を加え良く震盪後、遠心する。下層のクロロホルム層を蒸発乾固し総脂質(1-2mg)を得る。リン脂質やコレステロール、トリアシルグリセロールにエルテル化している脂肪酸を含む総脂肪酸の分析のため2mlの5%塩酸メタノールを加え85℃、3時間煮沸し、冷却後4mlのヘキサンを入れ良く震盪し、ヘキサン層の脂肪酸メチルエステルを抽出する。これをガスクロマトグラフィー(GLC)で測定した。55症例の慢性硬膜下血腫の内、最初の血腫除去で50例が治癒したが、5例で再度出血が起きた。主な脂肪酸組成はオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸から構成されているが、再発血腫では総脂肪酸の内リノール酸が占める割合が38.6±3.1%で、治癒血腫ではオレイン酸が26.4±3.2%と最も多く含まれた。ω-6系のリノール酸はアラキドン酸と同じ系列でありエイコサノイドやラジカルなど生物学的活性物質を産生する可能性を示唆し、今後血腫再発についてどの脂質分画にリノール酸が多く含有するか検討し、さらに血腫被膜に対する生物学的活性を眼球結膜の血管新生で観察する。
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