1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳局所一過性虚血に対する虚血耐性の誘導とそれに伴う細胞内分子機構の解明
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09771075
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
柳本 広二 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (50281689)
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Keywords | cerebral ishcemia / cortical spreading depression / rat |
Research Abstract |
虚血性脳神経障害に於いて近年、cortical spreading depression (CSD)を用いた脳の前処理により、脳は、その後の脳虚血に対し耐性を獲得することが報告された。しかしながら、これらの虚血耐性能誘導実験の多くは脆弱な海馬神経細胞に対する細胞死を対象としたものであり、その耐性もまた脆弱である。現在も尚、脳梗塞に対する脳の耐性効果の有無は明らかでない。本研究では長期間のCSDを前処置として用いることで、一過性局所脳虚血に対する脳梗塞耐性の誘導を試みた。方法としては300-350g雄性Sprague-Dawleyラットを用い、また一過性局所脳虚血は、両側総頚動脈および左中大脳動脈を2時間閉塞モデルを用いた。第一群では、前処理を行わず局所脳虚血負荷のみ、第2-7群では、4M塩化カリウム(KCl)48μ1を浸透圧ポンプを用いて持続的に左側脳皮質内へ2日間注入し、ポンプ抜去後それぞれ6、9、12、15、21、24日後に局所脳虚血の負荷を行った。第8、9、10群では、生理食塩水48μ1を2日間持続脳皮質内投与行い、ポンプ抜去6、12日あるいは21日後に局所脳虚血負荷を行い対照群とした。すべてのラットは虚血作成2日後に屠殺し、脳梗塞巣の体積を算出した。その結果、ポンプ抜去後より脳虚血までの日数が増すにつれ、脳梗塞巣の体積は減少傾向を示し、12、15日後に行った局所脳虚血後に生じた脳梗塞は前処理のない群あるいは生理食塩水注入群より有意に縮小した。すなわち、局所一過性脳虚血後の脳梗塞に対してCSDの長期に渡る前処理は、脳梗塞耐性を誘導することが示された。
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[Publications] Yanamoto H,Hashimoto N,Nagata I,Kikuchi H: "Infarch tolerance against temporary focal ischemia following spreading depression" Brain Res.(in press). (1998)
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[Publications] Sakata M,Yanamoto H,Hashimoto N,et al.: "Induction of infarct tolerance by plateletderived growth factor against reversible focal ischemia" Brain Res.(in press). (1998)
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[Publications] Iihara K,Hashimoto N,Tsukahara T,et al.: "Platelet-derived growth factor-BB,but not -AA, prevents delayed neuronal death after forebrain ischemia in rats" J.Cered.Blood Flow Metab.17. 1097-1106 (1997)
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[Publications] Yanamoto H,Hashimoto N,Sakata M,Taniguchi T: "Brain protection by direct cerebral injection of brain-derived neurotrophic factor against focal temporary ischemia" Soc.Neurosci.Abstr.23,2. 948.1 (1997)