1997 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板変性の実相解明、とくに静水圧環境変化に伴う椎間板NO産生と基質合成
Project/Area Number |
09771080
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
石原 裕和 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30242499)
|
Keywords | 静水圧 / 椎間板代謝 / プロテオグリカン / NO(Nitric oxide) |
Research Abstract |
腰痛発症の主座である椎間板変性の促進には力学的負荷が大きな役割を演じていると考えられる。しかし、なぜ力学的負荷が椎間板変性を促進させるのかについて、そのメカニズムは未だ明らかにされていない。Nitric oxide(NO)は1987年にMoncadeらのグループにより血管内皮産生血管拡張因子として初めて報告されたが、その後の研究により広範な生命現象に深く関わっていることが明らかとなってきた。本研究は静水圧が椎間板NO産生を変化させるか、さらに、静水圧の椎間板プロテオグリカン(以下PG)合成調節機構にNOが関与しているか否かを明らかにした。腰椎後方椎間板切除術時に採取した椎間板29例を用いた。注射シリンジ内に培地とともに充填した椎間板を静水圧チャンバーにおいて、1、3、30気圧環境下に培養した。PG合成能はBaylissの方法による35S-sulfateの取り込み率より、NO産生量はGriss法により測定した。NO合成酵素阻害剤としてL-NMAを用いた。PG合成能は3気圧で促進、30気圧で抑制されるのに対し、NO産生量は3気圧で抑制、30気圧で促進された。L-NMAの添加により3気圧でのPG合成促進作用は増強され、30気圧での抑制作用は減少する傾向が示された。静水圧によるPG合成調節にNOが関与していることが推察された。さらにNOはIL-1による軟骨細胞プロテオグリカン合成能抑制やマトリックスメタロプロテアーゼ活性化の仲介物質であることが解ってきている。L-NMAのようなNO合成酵素阻害剤は椎間板変性抑制薬としての可能性を秘めていると考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 飯田唯史、石原裕和、他: "静水圧がヒト腰椎間板基質合成および分解酵素産生に及ぼす影響" 脊椎脊髄. 9:. 801-807 (1996)
-
[Publications] Ishihara H, et al: "Effects of hydrostatic pressure on matrix synthesis in different regions of the intervertebral disk." J Appl Physiol. 80:. 839-846 (1996)
-
[Publications] Osada R, Ishihara H, et al: "Autocrine/Paracrine mechanism of Insulin-like growth factor-1 secretion and the effect of Insulin-like growth factor-1 on proteoglycan synthesis in bovine intervertebral discs." J Orthop Res. 14:. 690-699 (1996)
-
[Publications] Ishihara H, et al: "Proteoglycan synthesis in the intervertebral disc nucleus : the role of extracellular osmolarity." Am J Physiol. 41. C1499-C1506 (1997)
-
[Publications] Handa T, Ishihara H, et al: "Effects of hydrostatic pressure on materix synthesis and matrix metalloproteinase production in the human lumbar intervertebral disc." Spine. 22:. 1085-1091 (1997)
-
[Publications] 柳 根哲、石原裕和、他: "静水圧がヒト腰椎椎間板nitric oxide産生と基質合成に及ぼす影響" 中部日本整災誌. 40:. 1594 (1997)