1997 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍血管内皮浸潤調節機構の物質的基盤と転移の臓器特異性
Project/Area Number |
09771082
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
遊道 和雄 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (60272928)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 接着分子 / 血管内皮透過性 / サイトカイン / 腫瘍浸潤 / 転移 |
Research Abstract |
平成9年度計画 1.血管内皮細胞株の樹立: 高転移性ヒト線維肉腫株HT1080細胞(3x10^6個)をヌードマウス皮下に移植後4週目に解剖し、原発腫瘍、転移腫瘍および正常肺、肝、脳組織を採取した。各組織を細切しコラゲナーゼ酵素処理によりsingle cellとし、Modzelewskiらの方法(Cancer Res.,54: 336-339,1994)に準じてフローサイトメトリーを用いて血管内皮細胞を分離、クローニングし各組織由来の内皮細胞を樹立した。血管内皮細胞の確認は、内皮細胞特異的抗体を用いた免疫染色により行った。 2.腫瘍細胞および各種組織由来内皮細胞における接着分子活性: 1)各組織由来内皮細胞およびHT1080細胞表面に発現する細胞接着分子をフローサイトメトリーにより分析したところ、各内皮細胞にはICAM-1とELAM-1の高度発現、HT1080細胞膜上にはCD15とVLA-4の発現を認めた。特に、ELAM-1の発現はマウス肺由来の内皮細胞において発現が顕著であった。各種接着分子モノクローナル抗体を用いた腫瘍-内皮細胞接着阻害実験によりHT1080細胞と各内皮細胞間の接着にはCD15/ELAM-1接着分子機構が重要であることが明らかとなった。これにより、各組織由来内皮細胞におけるCD15/ELAM-1接着分子発現レベルと転移の臓器特異性との関連が示唆された。また、HT1080細胞の産生するサイトカイン(IL-α,IL-6)が内皮細胞上にELAM-1の発現を誘導することが確認され、各種接着分子抗体や抗サイトカイン抗体負荷による転移抑制実験のための基礎的データが得られた。 平成10年度は腫瘍細胞の誘導する血管内皮透過性および内皮浸潤能の変化を分析し、各臓器由来内皮細胞における接着分子機構および血管内皮透過性と転移の臓器特異性との関連を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)