1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチにおける骨・関節破壊機序の分子生物学的解明-RA骨髄由来間質系(ナ-ス)細胞の機能解析及び組織破壊局所での病態解明-
Project/Area Number |
09771085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 哲也 大阪大学, 医学部, 助手 (30283766)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 骨髄 / 間質(ナ-ス)細胞 / pseudoemperipolesis / ヒアルロン酸 / 骨髄球系細胞 |
Research Abstract |
RA骨髄において各種造血系細胞を活性化し、機能亢進させる間質細胞の特性・機能について検討した。細胞表面マーカーはCD29、CD44、CDw49c、CD51、CD54、HLA-DR陽性であったが、対照として樹立した健常人骨髄間質細胞とその発現パターンに大差は認められなかった。RA骨髄間質細胞の特徴は共存するリンパ球などの浮遊系細胞を自分自身の下に潜り込ませる現象(pseudoemperipolesis)である。RA骨髄間質細胞のpseudoemperipolesis能は、39.4%±4.5(MC/car),23.8%±2.5(Molt17)に認められたのに対し、健常人骨髄由来ストローマ細胞では4.0%±1.4(MC/car),1.5%±O.6(Molt17)とほとんど認められなかった。RA骨髄間質細胞はIL-6、IL-7、IL-8、GM-CSFの産生能を示した。健常人骨髄間質細胞もIL-6、IL-8を産生したがその産生能は有意に低かった。またRA骨髄間質細胞をMC/carと共培養しpseudoemperipolesisを起こした状態では間質細胞単独培養時に比べて有意に高いIL-6、IL-8産生能を示すとともに、単独培養時には産生されなかったIL-1、TNF一αの産生も認められた。RA骨髄間質細胞は高濃度のヒアルロン酸も産生し、ヒアルロン酸産生能とpseudoemperipolesis能は正の相関を示した(r=0.819)。重症RAに特異的に認められる異常な骨髄球系細胞はin vitroで培養してもその維持が困難であったが、RA骨髄間質細胞と共培養すると骨髄球系細胞は長期間維持された。RA間質細胞は、造血系細胞を抱き込み活性化するが、同時に間質細胞自体も活性化されRA病巣形成に重要な役割を果たしていると考えられた。
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[Publications] Tomita,T.: "Enhannced expression of CD14 antigen on myeloid lineage cells derived from the bone marrow of patients with sever RA." Journal of Rheumatology. 24. 465-469 (1997)
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[Publications] Tomata,T.: "In vivo direct gene transfer into articular cartilage by intraarticular injection mediated by HVJ(Sendai virus) and liposomes." Arthritis & Rheumatism. 40. 901-906 (1997)