1997 Fiscal Year Annual Research Report
In vivoにおける抗HPC-1抗体の末梢神経再生促進作用に関する実験的研究
Project/Area Number |
09771111
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
直長 圭植 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70249994)
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Keywords | Neuron specific protein / HPC-1 antigen / nerve regeneration / In vivo |
Research Abstract |
Nembutal麻酔下に成熟雄マウスの、総腓骨神経を切断し、切断近位部をfilm(4×2mm大)上に固定し、抗HPC-1抗体滴下後、同等大の別のfilmを重ね合わせ閉創する。術後4、8、12、24、48時間後にfilmを取り出し1時間固定液に浸漬後上層のfilmを除去し、鍍銀処理にて、神経軸索を染色した。これを光学顕微鏡(×400〜×1000)により再生神経を描画しようと試みたが、鍍銀染色の手技に習熟を要することと、染色の程度にバラツキが多かったため神経の描画は困難を極め、実際に再生された軸索を観察することができた標本は3例にすぎなかった。これらのことから、まず対照群(Ringer液滴下)のみを用いた神経軸索の鍍銀染色法の手技習熟が重要と思われたため、これを試行した。対照群のみの経時的変化についての結果は、filmの取り出しが早かった場合(術後4、8、12時間経過例)は、film間の癒着がないかもしくは殆どないために脱水や染色などの段階で、再生神経が摩擦により挫滅されてしまいうまく描画することができなかった。そこでfilm同志を比較的タイトに重ね合わせたのち鍍銀処理をおこなったが、この場合はきつく重ねたfilm自体が神経を挫滅させてしまい断端の染色がこれも描出できなかった。またfilmの取り出しが遅かった場合(術後24、24時間経過例)は、神経細胞周囲に炎症細胞の浸潤が生じるためdilm間の癒着は強くなるが、浸潤してきた細胞により硝酸銀の洗出が阻害されることとなり標本全体が染まってしまい軸索の同定も困難な状態であった。 現在は、以上のことより鍍銀染色から操作が容易なDiI染色処理に変更し、神経軸索の描出を模索中であるが、film法は手技的要素が多分に結果を左右するため、今後の進捗状況によっては、神経再生初期の経時的変化の検定を中止し、ラット坐骨神経による架橋実験への変更も考慮する必要がある。
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