1998 Fiscal Year Annual Research Report
In vivoにおける抗HPC-1抗体の末梢神経再生促進作用に関する実験的研究
Project/Area Number |
09771111
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
直長 圭植 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70249994)
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Keywords | HPC-1 / Neuron-specific protein / Neuronal sprouting / Entubation repair / Nerveregeneration |
Research Abstract |
マウス総腓骨神経のFilm法モデルを、DiI染色で描画したが、再生された神経軸索の同定はできず、l例を除いたほぼ全例がfilmエッジから遠位部で観察できなかった。近位軸索内に溶けたDiI色素は、軸索流により一定の速度で順行性に神経を染めていくため、描画不良となる原因は、filmによる切断や挫滅で、軸索が障害されてしまうためと推察した。手技を簡素化した上層filmを剥がさない標本も、結果は同じであり、定量できないFilm法による神経再生初期の検定は、本実験の期限を憂慮したことから一時中止とした。 ラット坐骨神経幹に12mmのgapを作製し、3種のsilicone tubeを架橋し3群を設定(H群:抗HPC-1抗体をtype 1 collagen gelに溶解し300倍希釈したC群:type 1 collagen gelのみを充填したE群:何も充填されていない)した。評価は、術後4週で行った。肉眼的観察は、tube縦断面組織の割合を4段階(50〜100%を優、25〜50%を良、1〜25%を可、再生組織のないものを不可)で評価した。電気生理学的検索は、針電極にて神経を刺激し前脛骨筋からM波の導出を試みた。病理組織学的検索は、架橋組織中央の横断切片をAzan染色し軸索数を測定した。結果は、H群:43%に架橋があり、内訳は良14%、可29%だった。架橋組織の多くは細い素状で新生血管もなかった。組織中央の横断切片では軸索が観察できた例も少なく横断面中心部の結合組織内に散在していた.C群:37%に架橋があり、内訳は良16%、可21%で、肉眼的所見および病理組織学的所見はH群と大差なかった。E群:ほぼ全例に架橋された組織を認めず1例のみ可だった。電気生理学的検索では、全例にM波は導出されなかった。この結果から、抗HPC-1抗体の神経再生促進作用は証明できないが、in vivoにおける超短期評価法の確立と、抗体濃度や処理法の異なる検定を追試することが今後の研究課題としで考えられた.
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