1997 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返し荷重下で観察された骨梁構造の疲労骨折の解析ー離断性骨軟骨炎 発症についてー
Project/Area Number |
09771113
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
菊川 久夫 東海大学, 医学部, 助手 (50246162)
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Keywords | Shear Loading / Bone-cartilage Lesion / Articular Injury / Osteochondritis Dissecans / Cyclic Loading / Fracture Models / Pathomechanism / Bio mechanics |
Research Abstract |
離断性骨軟骨炎の発生原因には、遺伝因子、ホルモン異常などさまざまな内因性要素が指摘されている。一方、免荷により高率に完治する場合もあり、力学的な因子も関与していることは明らかである。しかし、本疾患の症状は比較的軽く重傷感がないため見逃されやすく、骨片が遊離体となって初めて来院する場合も少なくない。そのため、初発の病像、発生部位およびその進展様相は明らかでない。本研究の目的は、繰り返し荷重下の軟骨下骨海綿骨の骨梁構造の、疲労骨折挙動の時間的変化を観察し、離断性骨軟骨炎の発生機序について、力学的観点から検討することにある。 本年度は、関節端に圧縮荷重とせん断荷重の異なった2つの荷重が作用する場合の、繰り返し荷重試験を実施し、このときの軟骨下骨海綿骨骨梁構造の疲労骨折を、組織学的に観察し、初発損傷部位、破壊の進展状況を明らかにした。 幼若ブタ膝蓋大腿関節大腿骨関節面より、6mm幅の骨軟骨複合体のスライスを採取し、取り付け用のカップにアクリルレジンを用いて固定した。先端が直径15mmのステンレス製円筒圧子により、生理食塩水の湿潤下で関節面に負荷を行なった。試験設定は、荷重方向と軟骨面に傾斜角θを付けることで、関節面に沿って働くせん断力を発生させた。今回は、圧縮荷重のθ=0°とせん断荷重の影響を見るためのθ=45°の2種類とした。荷重の条件は、サイン波で1Hzとし、最大繰り返し回数を最大3万回とし、最大荷重値は関節面の損傷に応じて種々変化させた。繰り返し実験中の亀裂の観察は、実験後、光顕標本により骨組織観察および1mmスライス標本を作製し、軟X線により骨折型を確認した。 以上の結果より、繰り返しせん断力は圧縮荷重に比較し、骨軟骨障害発生に破壊的かつ加速的に働くことがわかった。幼若関節では成熟関節とは破壊形態が異なり、軟骨下骨板直下でせん断損傷が進行していた。またレントゲン像において圧迫骨折を認めた標本において、光顕観察から疲労骨折に類似した骨折が確認された。
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