1997 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性神経細胞障害に及ぼすアシドーシスの影響-特にアポトーシスへの影響-
Project/Area Number |
09771131
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 岳彦 北海道大学, 医学部, 助手 (70280849)
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Keywords | アシドーシス / アポトーシス / ネクローシス / PC12 / 脳虚血 |
Research Abstract |
心停止に陥ると生体は種々の程度のアシデミアにさらされる。その際生じる脳内アシドーシスが、蘇生成功後の蘇生後脳障害にどのような影響を及ぼすかについて以前不明な点が多い。一方最近、虚血性神経細胞死はネクローシスとアポトーシスの2つのパターンを取ることが分かってきている。したがって、本研究では神経系細胞のモデルとしてラット副腎髄質褐色細胞腫由来のPC12細胞を用い、ネクローシスとアポトーシスを区別して、アシドーシスがそれぞれにどのような影響を及ぼすかを検討した。アポトーシスは培養液から血清を除去し、ネクローシスはiodoacetate(ATP合成阻害薬)を添加し誘導した。アシドーシスの負荷は培養液に塩酸を添加しpHを調整した。ネクローシスもしくはアポトーシスによる細胞死の定量は培養液中に遊離した乳酸脱水素酵素(LDH)活性によって行った。アポトーシス細胞の定量化は細胞をアルコール固定後、ヨウ化プロピジウムで染色し、フローサイトメトリーによりDNA含量を測定することにより求めた。結果、pH6.5の中等度アシドーシスは、ネクローシスによる細胞死を抑制する傾向にあったが、アポトーシスによる細胞死ならびにアポトーシス細胞の割合はかえって増大させた。pH5.0の高度アシドーシスはアポトーシスもネクローシスも助長した。このようにアポトーシス、ネクローシスに対してアシドーシスは異なった影響を与えることが示唆されたが、現在まだ有意差が認められないため研究を続行中である。
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