1997 Fiscal Year Annual Research Report
PDEIII阻害薬の強心作用にアシドーシスが及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
09771135
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田中 誠 秋田大学, 医学部, 講師 (50236634)
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Keywords | PDEIII阻害薬 / ミルリノン / 代謝性アシドーシス |
Research Abstract |
ハロセン麻酔、調節呼吸下のビ-グル犬に対し、アシドーシス(pH=7.4,n=7;pH=7.2,n=7;pH=7.0,n=6)モデルを作成し、PDEIII阻害薬であるミルリノンを2μg/kg/min、5μg/kg/minの速度で持続静脈内投与し、循環動態を調べた。 ・pH7.0群において、Baselineの平均血圧がpH=7.4群に比べ有意に低かった以外は、心拍数、心拍出量、平均肺動脈圧、右心房圧、左室拡張末期圧、LVdP/dtmax、末梢血管抵抗、肺血管抵抗に群間差はなかった。 ・pH=7.4及びpH=7.2群においては、ミルリノンは量依存的に心拍数、心拍出量、LVdP/dtmaxを増加させ、末梢血管抵抗を低下させたが、pH=7.0群においてこの現象はみられなかった。 ・以上の結果、pH=7.4及びpH=7.2群における循環動態に有意差はなかったが、pH=7.0群では他の2群に比べ平均動脈圧、LVdP/dtmaxが有意に低く、心拍数はpH=7.4群に比べ有意に少なかった。 ・Baselineからの変化量を比べると、pH=7.0におけるLVdP/dtmaxの変化は、他の2群に比べ、ミルリノン2μg/kg/min及び5μg/kg/minいずれの投与速度においても有意に少なかった。 ・心拍出量のpH=7.0群における変化量は、ミルリノン2μg/kg/minにおいてpH=7.2群より有意に少なく、ミルリノン5μg/kg/minにおいては他の2群に比べ有意に少なかった。 ・以上の結果、ミルリノンによる強心作用は、犬における代謝性アシドーシスモデルにおいて有意に低下することが分かった。
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