1997 Fiscal Year Annual Research Report
肺欠管におけるムスカリンレセプターサーブタイプの同定
Project/Area Number |
09771140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
折井 亮 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30272579)
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Keywords | 肺血管 / ムスカリンレセプター / アセチルコリン / サブタイプ |
Research Abstract |
アセチルコリン(10^<-1>M)による肺血管拡張反応は肺動脈側のみに認められ、肺静脈側には影響を及ぼしていないことが判明した。肺動脈において各ムスカリンレセプター選択的拮抗薬(PNZ,Met,4-DAMP@のcumulative dose)の投与は、すべてアセチルコリンによる降圧反応を拮抗した。各拮抗薬のIC50(アセチルコリンによる降圧反応を50%拮抗する濃度は)は、PNZ : 2.51・10^<-7>、Met : 1.25・10^<-6>、4-DAMP : 1.58・10^<-9>(M)であった。肺静脈においては、各ムスカリンレセプター選択的拮抗薬群においていずれも有意な変化を認めなかった。また、生食群では肺動静脈のいずれにおいても有意な変化を認めなかった。 家兎の摘出灌流肺において肺血管拡張におけるムスカリンレセプター選択的拮抗薬のIC50が、4-DAMP《PNZ〈Methoctramineとなったことよりアセチルコリンによる肺血管拡張作用はM_3のムスカリンレセプターを介していることが判明した。この結果は、McCor mackの報告と一致している。彼らは、兎の摘出肺血管において同様に4-DAMPがpirenzepine、methoctramineに比較して低濃度においてアセチルコリンの拡張作用を阻害したとしている。また、今回、double occlusion methodを用いて肺毛細血管圧を測定することでアセチルコリンの肺血管拡張作用が動脈側ないし静脈側のいずれのセグメントに影響を及ぼしているのか評価することができた。アセチルコリンのきたす肺血管拡張作用は動脈側のみに認められ、静脈側には影響を及ぼさないことが判明した。このことは、肺血管拡張をつかさどるM_3ムスカリンレセプターが肺動脈側に分布していることを示唆すると考えられる。
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