1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺血管におけるムスカリンレセプターサブタイプの同定
Project/Area Number |
09771140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
折井 亮 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30272579)
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Keywords | 肺血管 / アセチルコリン / ムスカリンレセプタ / 一酸化窒素(NO) |
Research Abstract |
1) 兎肺灌流実験モデルにおいて肺血管拡張作用をつかさどるムスカリン(M)受容体のサブタイプを3種類の選択的拮抗薬を使用し,て薬理学的に同定を行った。Ml及びM2選択的拮抗薬に比較してM3選択的拮抗薬の4-DAMPが低濃度でアセチルコリンの肺血管拡張作用を拮抗したことから、この反応はムスカリン受容体サブタイブ3(M3)を介していると考えられる。同時に肺毛細血管圧を測定により肺動静脈の各セグメントで肺血管抵抗を評価した結果、アセチルコリンによる肺血管拡張作用は肺動脈側のみ拡張を生じ、さらにこの肺動脈拡張反応は4-DAMP投与により拮抗されることが判明した。したがって、アセチルコリンによる肺血管拡張作用に関与するM3受容体は肺動脈を中心に分布していることが考えられる。 (第44回日本麻酔学会総会にて発表) 2) 検出及び定量化が困難である一酸化窒素(NO)の測定のためにグリース法を利用し、従来NOの作用によると考えられているアセチルコリンの肺血管拡張作用に関して潅流液中のNO代謝産物を直接定量化し検討した。この結果、アセチルコリンによる肺血管拡張作用に伴い潅流液中のNO代謝産物血中濃度は有意に増加していることが判明した。4-DAMPを使用して前処置した場合には肺血管拡張作用は認められず、同時にNO代謝産物血中濃度も変化を認めなかった。アセチルコリンによる肺血管拡張作用は肺動脈を中心に分布するM3受容体を介して産生された一酸化窒素(NO)により生じていると考えられる。 (第45回日本麻酔学会総会にて発表)
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