1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肺高血圧モデルにおける一酸化窒素と血管拡張薬、麻酔薬の相互作用
Project/Area Number |
09771158
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 裕之 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (10274086)
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Keywords | 肺高血圧 / 一酸化窒素 / 血管拡張薬 / 静脈麻酔薬 |
Research Abstract |
1.肺高血圧症の動物モデルの作成 ラットにモノクロタリンの皮下注射を行い,3週間飼育することにより慢性肺高血圧モデルを作成した.しかし,KClやフェニレフリンによる等尺性張力が安定せず,周期的変動が認められた.絶対的張力も正常ラットと比較して小さかった.この変動はL-NAMEにより抑制され,一酸化窒素(NO)の関与が示唆された.しかし,周期的変動の定量や血管拡張薬による張力の低下の評価方法に課題を残した.したがって,まず正常ラットにおける反応から検討を行い,次年度に肺高血圧モデルを扱う計画とした. 2.正常ラットの肺動脈におけるプロポフォールの血管拡張作用の検討 肺動脈を肺外肺動脈(EPA)と肺内肺動脈(IPA)に分けて等尺性張力を測定することにより薬理学的検討を行った. (1)フェニレフリンによる血管収縮反応(濃度-反応曲線)には,EPAとIPAでは差がなかった. (2)フェニレフリンにより前収縮させ,外因性NOドナーであるSNPに対する血管拡張反応(濃度-反応曲線)をみたところ,EPAとIPAでは差がなかった. (3)フェニレフリンにより前収縮させ,静脈麻酔薬であるプロポフォールに対する反応を観察した.濃度依存性の血管拡張作用が認められた.しかし,EPAとIPAでは差がなかった. (4)この反応はL-NAMEにより抑制されず,NOを介する血管内皮の関与は否定的であることが示唆された. (5)次年度に,L-Arginineを加えることによりNO経路をEnhanceすることによりNOの関与を同定する計画である.
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