1997 Fiscal Year Annual Research Report
メディエーター誘発性肺血管収縮に対する各種血管拡張薬の効果
Project/Area Number |
09771170
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
槇田 徹次 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (00229337)
|
Keywords | ベータ-ブロッカー / 肺高血圧 / ラット / 血管平滑節 |
Research Abstract |
研究目的である肺血管のメディエーターによる収縮に対する各種血管拡張薬の作用を検討するに当たって、まず肺高血圧が起こる状況を想定し、そのとき併用される薬剤の影響について調べた。 肺血管収縮が人工心肺後におこることはよく知られており、それは血中のカテコラミンの上昇によるものと考えられている。またβブロッカーは高血圧や虚血性心疾患患者に広く使われているが、肺血管トーヌスに対するβブロッカーの影響はまだよく知られていない。そこでラット肺動脈を用い、ノルエピネフリン誘発性血管収縮におけるβブロッカーの直接作用を調べた。 雄性ウイスターラットの肺動脈本幹を取り出し3mmの血管リングを作製し、マイクロイ-ジ-マグヌスを用い、酸素95%二酸化炭素5%で通気したKrebs-Heneseleit液中で最適の静止張力を与え正常状態をえた。コントロール群としてノルエピネフリンで段階的に収縮させた。数回洗浄した後、非選択的βブロッカーである10^<-4.5>Mのプロプラノロールと選択的β_1ブロッカーである10^<-4.5>MのONO-1101を15分前に投与し、コントロール群と同様にノルエピネフリンで段階的に収縮させた。結果は、プロプラノロールは低濃度のノルエピネフリンによる容量-収縮曲線をを右方にシフトさせたが、高濃度のノルエピネフリンによる収縮の抑制を消失させ、収縮を増加させた。しかしONO-1101はノルエピネフリンによる容量-収縮曲線に影響を与えなかった。 プロプラノロールが低濃度のノルエピネフリンによる肺血管の収縮を抑制したメカニズムとしてβ受容体遮断作用ではなくプロプラノロールの非特異的な作用が考えられた。一方、プロプラノロールは高濃度のノルエピネフリンによる収縮を増加させたが、β_1受容体遮断作用のみもつONO-1101では影響がなかった。このプロプラノロール作用はβ_2受容体遮断作用によるものであると考えられた。
|