1997 Fiscal Year Annual Research Report
ノシセプチンの疼痛閾値に与える影響と下行性抑制系の関与
Project/Area Number |
09771173
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
河野 太郎 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90284835)
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Keywords | ノシセプチン / 疼痛閾値 / 温熱過敏 / ホルマリン |
Research Abstract |
クモ膜下nociceptin投与ラットにおいて,熱刺激に対する侵害閾値を観察し,用量反応関係を調べた.また,ホルマリンによる疼痛過敏への影響も調べた. 対象と方法:生後5週以降の雄SDラットを用いた.nociceptinは生食で希釈しそれぞれ0.17,1.7,17nmol/10μlとした.実験1)ペントバルビタール麻酔下にラットの環椎後頭膜から尾側へカテーテルを8cm挿入した.2週間後にそのカテーテルをnociceptinの投与経路に使用した.ラットをnociceptin投与量で5匹ずつ生食を含めた4群に分けた.これらのラットの足底に放射熱を加え,足を引っ込めるまでの時間(WL)を測定した.cut-off timeは20秒とし,5分間隔で左右交互に3回ずつ測定した.左右各々の最小値を侵害閾値とした.実験2)ラットを実験1同様に4群に分けた.nociceptin投与10分後に,5%ホルマリン50μlを右後肢足底部に皮下注射し,疼痛反応を観察して用量-反応関係を調べた.また,疼痛行動も評価した. 結果:実験1)WLは,各群に差がなく左右差もなかった.実験2)生食群を除いた3群すべてでWLに左右差をみとめた.nociceptin量に対し右足の侵害閾値をプロットして得た用量-反応曲線によると,nociceptinの量依存的に右足でWLが増加した.ホルマリンによる疼痛行動については各群で差がなかった. 考察:nociceptinのクモ膜下注入は,量依存的にホルマリンにより生じた温熱過敏のレベルを減少させたが,疼痛行動の評価では差を認めなかった.ホルマリン量を減らすと差が得られるかもしれない.今後の研究の展開としては,ホルマリンを10μlに減らして実験2を行う.また,ホルマリンの代わりに疼痛過敏を生じるメカニズムが異なるカプサイシンを使用し比較検討する.
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