1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈平滑筋細胞内Ca調節機構における筋小胞体の特異性と麻酔薬作用に関する研究
Project/Area Number |
09771187
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
小川 幸志 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (30204077)
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Keywords | 脳血管 / 筋小胞体 / 揮発性麻酔薬 |
Research Abstract |
平成10年度は腸間膜動脈及び脳動脈の平滑筋筋小胞体機能に及ぼす揮発性麻酔薬(ハロタン、イソフルラン、セボフルラン)の影響を主としてその張力変化から薬理学的に検討した。 1) 内皮を除去した腸間膜動脈標本を恒温槽中に懸垂し、Ca^<++>除去リンゲル液中でカフェイン35mMを投与することにより筋小胞体内のCa^<++>を枯渇させた。次いで、再びCa^<++>(2.5mM)含有リンゲル液中で20分間筋小胞体Ca^<++>を取り込ませ、10分間Ca^<++>除去リンゲル液で処置した後、15mMカフェインを投与し一過性収縮を得た。この収縮の大きさが筋小胞体に貯蔵されているCa^<++>量を反映すると考えられる。 2) Ca^<++>取り込み時にハロタンを暴露すると、濃度依存性にカフェイン収縮は抑制された(0.5%、1%、2%ハロタン存在下でコントロールに比べそれぞれ65.0±15.1%、40.7±16.5%、34.5±8.1%)。イソフルラン及びセボフルラン(1、2、4%)はカフェイン収縮に影響を与えなかった。 3) 麻酔薬をカフェインと同時に投与するとハロタンはカフェイン収縮を増強した。イソフルラン及びセボフルランはこの収縮に有意な影響を与えなかった。 4) この結果から、腸間膜動脈においてはハロセンは血管平滑筋筋小胞体へのCa^<++>の取り込みの抑制作用と、Ca^<++>遊離促進作用を持つことが明かとなった。一方、イソフルラン及びセボフルランはこのような作用を有しておらず、この差が麻酔薬の血管作用の差となっている可能性が示唆された。
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