1997 Fiscal Year Annual Research Report
肺血管内皮細胞における接着分子の調節機構と急性肺障害の治療への応用
Project/Area Number |
09771191
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
上園 昌一 帝京大学, 医学部, 講師 (10291676)
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Keywords | 接着分子 / ICAM-1 / 血管内皮細胞 / 低酸素 |
Research Abstract |
ICAM-1は、血管内皮細胞細胞の表面に発現する接着分子の一つで、白血球を血管内皮に強固に接着する働きをもつ。本研究者は、エンドトキシン(LPS)によってICAM-1の発現が増え、低酸素刺激によって、その発現量がさらに増強するすることを報告した。本研究の目的は、そのメカニズムを解明し、接着分子の発現を抑制することで、急性肺障害の治療への応用を目指すことにある。 本研究の1年目の目的は、ICAM-1の量的な変化が質的に相関するかどうかを検討することであった。まず、培養ヒト肺血管内皮細胞においてリンパ球接着アッセイを確立した。このアッセイを用いて、次の2点を明らかにした。 1.ICAM-1の発現量の増加に対応して、白血球の血管内皮細胞に接着する割合が増える: 大気下(21%酸素)では、LPS(500ng/ml)によって、リンパ球の接着率は6%から19%に増えた。それに比べて、低酸素(1%酸素)下では、LPSによって、リンパ球の接着率は8%から40%に増加した。つまり、LPSによって増加したリンパ球の接着率は、低酸素刺激によって2倍程度増強した。LPSを加えず低酸素に暴露しただけでは、リンパ球の接着率は変化しなかった。この結果は、ICAM-1の発現量をELISAで定量した結果と一致する。 2.血管内皮細胞に接着した白血球の増加は、ICAM-1のアンチセンスオリゴヌクレオチドで阻害される: 上記の条件下にICAM-1のアンチセンスオリゴヌクレオチドを加えて同様の実験を行なったところ、低酸素刺激下では約70%、大気下で約60%の接着が阻害された。この結果は、リンパ球接着に関してICAM-1の寄与が大部分であることを示している。
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