1997 Fiscal Year Annual Research Report
尿路性器平滑筋における神経成長因子受容体を有する神経の研究
Project/Area Number |
09771206
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
筒井 寿基 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (20283012)
|
Keywords | 神経成長因子受容体 / 一酸化窒素合成酵素含有神経 / 尿路性器平滑筋 / 膀胱 / 尿道 / 前立腺 / 陰茎 |
Research Abstract |
正常尿路性器組織における低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)、高親和性神経成長因子受容体(TrkA,TrkB,TrkC)の分布に関する免疫組織学的研究。 1.膀胱:膀胱粘膜層にはnetworkを形成するようにLNGFR陽性神経は豊富に存在していた。膀胱筋層では平滑筋組織内のみならず、間質にもLNGFR陽性神経が認められた。神経線維数では粘膜層が筋層に比べ豊富であり、LNGFR陽性神経は知覚神経としての役割っを担っている可能性が示唆された。2.尿道(1)正常男性前立腺部尿道:粘膜および筋層にLNGFR陽性神経とTrkA陽性神経が認められた。TrkB,TrkCは認められなかった。(2)正常女性尿道:粘膜および筋層にLNGFFR陽性神経を認めたが、遠位部尿道に比べ近位部尿道においてLNGFR陽性神経線維数は多く、女性の尿禁制に対して何らかの形で関わっている可能性が示唆された。3.前立腺(1)Transition zone:間質組織内にLNGFR陽性神経、TrkA陽性神経、TrkC陽性神経を認めた。LNGFR陽性神経、TrkC陽性神経は豊富に存在していた。TrkB陽性神経は認められなかった。腺上皮細胞はLNGFRとTrkBで陽性を示した。(2)前立腺被膜:LNGFR,TrkA,TrkC陽性神経が確認された。前立腺では神経成長因子受容体は腺分泌にも関与していることが示唆された。4.陰茎(1)陰茎海綿体、白膜にLNGFR陽性神経を多数認めた。特に陰茎海綿体内の動脈周囲に豊富に存在した。(2)一酸化窒素合成酵素含有神経との分布の比較:NADPH-diaphroseを用いた免疫組織染色では、陰茎海綿体、白膜にNADPH陽性神経を多数認めたが、海綿体内の動脈の中膜、外膜に多く存在し、明らかにLNGFRとは分布様式が異なっていた。LNGFRは勃起に関し、一酸化窒素とは異なる機構に関与していると推察された。
|