1997 Fiscal Year Annual Research Report
尿中剥離細胞におけるテロメラーゼ活性-その腫瘍マーカーとしての有用性の検討-
Project/Area Number |
09771218
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
横田 欣也 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (10274218)
|
Keywords | テロメラーゼ / 膀胱癌 / 尿中剥離細胞 |
Research Abstract |
尿細胞診は、尿路上皮癌の有用な診断法として広く用いられているが、その感度は検者の技量や主観によるところが大きく、けっして十分とは言えない。テロメラーゼは多くの癌組織に高頻度に活性があると報告されており、Shayらの開発したTRAP(Telomere repeat amplification protocol)法を用いれば高感度に検出できるが、最近は正常組織にも活性が認められるという報告もある。本研究では、膀胱癌患者および健常者、良性疾患患者における尿中剥離細胞のテロメラーゼ活性を定量的に測定しその意義を検討した。 膀胱癌のcell lineであるJ-82において、細胞数を5、50、500、5000変化させ協和メディックスのキットを用いてテロメラーゼ活性を測定した。図のごとく50〜5000個の細胞から得られたextractにおいてlinearなテロメラーゼ活性の定量化ができていた。健常者、良性疾患患者20例の尿中剥離細胞のテロメラーゼ活性は非常に弱く、良性疾患患者のテロメラーゼ活性のmean+2SDをcut offとすると、全例陰性であった。このcut offを用いると膀胱腫瘍組織では全例テロメラーゼ活性が陽性で、膀胱癌患者の尿中剥離細胞におけるテロメラーゼ活性のsensitivityは86.2%(25/29)であり、これに対し細胞診のsensitivityは48.3%(14/29)と低かった。腫瘍のgrade別での尿中剥離細胞のテロメラーゼ活性の陽性率は、grade 1(G1)で77.8%(7/9)、G2で83.3%(10/12)、G3で100%(8/8)で、いずれのgradeにおいてもテロメラーゼ活性の陽性率が尿細胞診の陽性率を上回っていた。今後、より簡易で短時間でのassayが可能になれば、臨床上有用な腫瘍マーカーとなる可能性が示唆された。
|