1997 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌におけるインシュリンおよびインシュリン様成長因子に関する研究
Project/Area Number |
09771228
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
橋本 紳一 自治医科大学, 医学部, 講師 (30237937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 泰宏 自治医科大学, 医学部, 助手 (00265266)
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Keywords | 腎細胞癌 / インシュリン / インシュリン様成長因子 |
Research Abstract |
自治医大付属病院泌尿器科およびその関連施設において、腎細胞癌群16例と対照群(前立腺肥大症、尿路結石)25例について75g糖負荷試験を行い、両群間の血漿グルコース値とインシュリン値について比較検討した。両群間において年齢、肥満度(Kaup指数)に有意差を認めなかった。糖負荷試験における血漿グルコース反応は、腎細胞癌群で対照群に比較して若干高値をとるが、両群間に有意差を認めなかった。一方、インシュリン反応は糖負荷後0,30,60,90,120,180分において、腎細胞癌群で有意に高値であった。しかし、糖負荷前値と負荷後30分のインシュリン変化量をグルコース変化量で徐したinsulinogenic indexは、両群間で差を認めなかった。以上より、腎細胞癌群の高インシュリン血症は、インシュリン分泌反応の亢進というよりは、むしろインシュリン抵抗性の増大のためと考えられた。そこで、現在腎細胞癌患者におけるインシュリン抵抗性を証明するためにeuglycemic hyperinsulinemic clamp techniqueでの検討を計画している。 また、腎癌細胞株KU-2,VMRC,Caki-1を用いて、10μg/mlのインシュリン添加により96時間後のDNAアッセイを施行すると、コントロールと比較して、それぞれ、2.5、6.2、5.3倍のDNA量が得られたことにより、腎癌細胞に対するインシュリンによる増殖促進効果が確認された。現在、インシュリン濃度を低濃度(1ng/ml)、中濃度(10ng/ml,100ng/ml)、高濃度(1μg/ml,10μg/ml)に分けて、腎癌細胞の増殖に対する影響を検討している。
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