1997 Fiscal Year Annual Research Report
尿路上皮悪性腫瘍におけるシフラ21-1のマーカーとしての意義
Project/Area Number |
09771237
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
服部 智任 日本医科大学, 医学部, 講師 (60228492)
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Keywords | 膀胱腫瘍 / 腫瘍マーカー / シフラ21-1 |
Research Abstract |
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)または膀胱全摘術を施行した膀胱腫瘍患者76例の術前蓄尿を検体とし、尿中シフラの測定を行った。その際、同じ検体もしくは、ほぼ同時期の検体で尿細胞診を施行し、各患者の臨床像との比較を行った。 <膀胱腫瘍における尿中シフラ21-1と尿細胞診の感度の比較> ROC曲線より設定したcutoff値8ng/mlをもとに、膀胱腫瘍患者における尿中シフラ21-1と尿細胞診の感度の比較を行った。 <尿中シフラ有用性の検討> 膀胱腫瘍患者を尿中シフラ21-1の値、尿細胞診の結果によって、A)尿中シフラ21-1陽性だが、尿細胞診は陰性、B)尿中シフラ21-1に関わらず尿細胞診が陽性に分類した。グループA及びBにおいて、腫瘍の病理所見(grade、T、INF、pv、CISの有無)・転移の有無(M、N)・腫瘍数・腫瘍体積・腫瘍形態(乳頭・非乳頭、有茎性・広基性)を検討した。 <結果> 膀胱腫瘍に対する尿中シフラ21-1の陽性率は69.7%と尿細胞診の46.0%より高く、統計学的に有意の差を認めた。また、グループAとBを比較すると、グループAの平均gradeは1.87、グループBは2.39となり統計学的に有意の差を認めた。一方、浸潤度、INF、pv、pl、CISの有無、転移の有無(M、N)、腫瘍数、腫瘍体積、腫瘍形態(乳頭・非乳頭、有茎性・広基性)に関しては、グループA・B間に統計学的に有意の差は認めなかった。 以上より尿中シフラは異型度に依存しないため低異型度の腫瘍を検知するのに有用と考えられた。
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