1998 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸管粘液中の免疫グロブリンの結合蛋白の精製・同定と免疫性不妊症発症機序の解明
Project/Area Number |
09771282
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
前川 正彦 徳島大学, 医学部付属病院, 助手 (80253201)
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Keywords | secretory leukocyte proteasse inhibitor / 頸管粘液 / 免疫グロブリンの結合蛋白 / 顆粒球エセスターゼ |
Research Abstract |
平成9年度に同定したsecretory leukocyte protease inhibitor(SLPI)の免疫グロブリン結合能についてさらに検討を加えるとともに不妊婦人の頸管粘液中SLPI濃度を測定した。 2種類のrecombinant SLPI(rSLPI)を還元あるいは非還元下でSDS-PAGEを行い、ブロットしたメンブレンをビオチン化ヒト免疫グロブリンと反応させ、AP結合ABCを用いて標識した。またrSLPIをglutathione(reduced form)あるいはprotein disulfide-isomerase(PDI)で処理し、非還元下で同様の処理を行った。SLPI濃度は不妊患者から同意を得て採取した頸管粘液を超音波処理後、ELISA法で測定した。同様に顆粒球エラスターゼ濃度をELISA法で測定した。1)rSLPIは還元下では約15kDの位置にバンドがあり免疫グロブリンと結合したが、非還元下では15kD以上のbroadなバンドとなり免疫グロブリンと結合しなかった。2)rSLPIを10mMのglutathioneで処理すると一部に15kDのバンドが出現し、そのバンドのみが免疫グロブリンを結合した。3)rSLPIをPDIで処理しても免疫グロブリンと結合しなかった。4)頸管粘液中のSLPI濃度は44.9±27.5μg/ml (2.7-144.3)と血中の約500倍も高濃度であった。5)SLPIは顆粒球エラスターゼと負の相関(r=0.37)を認めた。以上の結果は、SLPIの免疫グロブリン結合作用が生体内還元物質によって発現することを示唆している。またSLPIは顆粒球エラスターゼの抑制物質として知られており、SLPI濃度は局所の炎症によって変動している可能性が高い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Maegawa M: "Identification of immunogolbulin binding factors in human cervical mucus." J Fertil Immunol. 34・1. 42-43 (1997)
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[Publications] Hirano M: "Binding of human secretory leukocyte protease inhibitor in uterine cervical mucus to immunoglobulins:Pathophysiology in immunological infertility and local immune defence." Fertil Steril. (in press).