1997 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素・虚血障害による胎児脳神経細胞死におけるカルシウム依存性プロテアーゼの動態
Project/Area Number |
09771292
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
尾崎 康彦 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50254280)
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Keywords | カルパイン / 脳神経細胞 / 低酸素・虚血障害 / 胎児仮死 |
Research Abstract |
低酸素状態による胎児新生児脳神経細胞障害におけるカルシウム依存性システインプロテアーゼ(カルパイン)の動態を検討するために、主に神経培養細胞を用いて以下の実験を行い結果を得た。 1、カルパインの存在及び動態を検索するために、μ-及びm-カルパインのN末端(不活性前駆体型)に対するペプチド抗体を作製した。 2、神経細胞培養系の培養液の低酸素化を酸素分圧測定で確認した。 3、低酸素培養による神経細胞内カルシウム濃度の増加を蛍光顕微鏡及び共焦点レーザー顕微鏡で確認した。 4、ヒト神経芽腫培養細胞(GOTO)を用いて、低酸素培養下におけるカルパインの動態をカルパインインヒビターの存在、非存在下でのトリパンブルーテストによる生細胞率の測定、上記抗体を用いたWestern blotting法、免疫組織染色によって検討した。 その結果、GOTO培養細胞において、低酸素処置によって生細胞数の減少が時間依存的に認められ、種々のカルパインインヒビターによって細胞死の抑制(回復)が認められた。 免疫組織染色法では上記抗体によって核に特異的な染色が認められ、その染色性は低酸素処置によって低下した。Western blotting法においても、同処理による上記抗体の染色性の低下が認められた。 5、妊娠19日Wisterラットをエーテル麻酔下に開腹し、片側の子宮動脈を20分間遮断後、胎仔脳を摘出し実験4と同様にWestern Blotting法、免役組織染色法に供した。対側胎仔を対照とした。 その結果、Western blotting法で同様の結果が得られた。 以上より、神経細胞の核内に存在するカルパインが胎児新生児脳の低酸素状態による神経細胞障害において重要な役割を演じている可能性が示唆された。 現在ラット胎仔低酸素モデルの改良を試作しつつ、in vivoの実験を検討中である。
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