1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771305
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
酒井 のぞみ 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60276326)
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Keywords | p27 / ノックアウトマウス / 卵巣 / 顆粒膜細胞 / FSH / アポトーシス / 細胞周期 |
Research Abstract |
p27/Kiplノックアウトマウスの卵巣では、卵胞が正常マウスより多数存在し、顆粒膜細胞数も増加しているのに関わらず排卵が起きず、したがって黄体化しないことが知られている。そこで本研究ではこの卵巣の病態生理を明らかにすると共に、顆粒膜細胞のcell lineが得られないかどうかを検討した。その結果、以下のような成績が得られた。 (1) tunnel法にて卵巣の切片を染色したところ、ほとんどの卵胞で顆粒膜細胞は染色されなかった。したがって多くの卵胞がviableな卵胞であると思われる。 (2) ^<125>Iで標識した卵胞刺激ホルモン(FSH)にて卵巣切片のオートラジオグラフィーを行ったところ、胞状卵胞はもちろん多くの前胞状卵胞でも、顆粒膜細胞に金粒子が確認された。 (3) 顆粒膜細胞を培養し種々の濃度の黄体化ホルモンとFSHを添加して培養後、培養上清中のestradiolとprogesteroneを測定した。その結果、非刺激下でも顆粒膜細胞はprogesteroneを産生し、さらにゴナドト口ピンに用量依存性に反応してprogesteroneを産生した。ただ培養上清中のestradiolは、対照の顆粒膜細胞と同様に、培養日数が経つにしたがって著減した。 (4) 顆粒膜細胞を培養し、FSH添加後の細胞周期の変化をflow cytometryにて検討した。その結果対照群の正常顆粒膜細胞と同様のパターンが得られた。 (5) 顆粒膜細胞のcell lineの作成を試みたが、残念ながらcell lineは得られなかった。 以上の結果より、in vivoでは排卵が起こらず、したがって黄体化しない原因の一つは、多数の卵胞からestradiolが非生理的に多量に分泌されるために、estradiolによるposi-tive feedbackが作動しないことにあると推測された。
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