1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771307
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 到 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90255513)
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Keywords | 骨代謝 / 骨髄造血 / 顆粒球 / 加齢 |
Research Abstract |
低回転型の骨代謝を示す老化促進モデルマウスSAMP6と正常な老化を示すSAMR1の脛骨より骨髄細胞を採取し、flow cytometryにより骨髄中の造血系細胞を週齢を追って解析したところ、SAMP6では骨量減少に先立って骨髄造血が亢進していること、および若年期から骨髄中の顆粒球が増加していることが明らかとなった。一方で、正常に老化が進行するSAMR1の骨髄では、24週以降加齢が進むと顆粒球が増加した。そこでこの顆粒球増加の原因を明らかにするため、SAMP6及びSAMR1の骨髄細胞よりtotal RNAを抽出し、RT-PCR法にてG-CSFmRNAの発現を解析したところ、SAMP6ではG-CSFmRNAの発現が亢進しており、SAMP6における骨髄顆粒球の増加がG-CSFの産生亢進に起因することが示唆された。さらにG-CSFによる骨髄顆粒球増加と骨量減少の関連を解析するため、16週齢のSAMR1にG-CSF(1μg/day)を連日皮下投与し、3週後に骨髄細胞のflow cytometry解析を行うとともに、大腿骨の骨密度を計測した。G-CSFを投与したR1マウスでは、vehicle投与群に比べ抗Gr-1抗体陽性の顆粒球が骨髄において著しく増加していた。その骨髄顆粒球造血の亢進はSAMP6に類似していた。またG-CSF投与群では、大腿骨の骨密度が著明に減少しており、P6マウスに類似した低骨密度を呈した。以上の結果より、SAMP6ではSAMR1とは異なり、若年期より骨髄中の顆粒球が増加しており、骨髄造血環境の老化が早期に起こることが示唆された。また、SAMP6の骨髄においてG-CSFの発現が亢進していることと、SAMR1にG-CSFを投与して骨髄顆粒球を増加させるとSAMP6様の造血亢進と骨量減少を認めたことから、G-CSFに依存した骨髄造血環境の変化が骨の老化と密接に関連していることが示唆された。
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