1997 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性睡眠時無呼吸モデルの作成とそのメカニズムの解析
Project/Area Number |
09771322
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小林 吉史 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70225556)
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Keywords | REM睡眠 / nucleus reticularis pontis oralis / カルバコール / 除脳ネコ |
Research Abstract |
平成9年度は申請計画どうり1)除脳ネコREM睡眠モデルの作成。2)睡眠・覚醒サイクルの中でのREM睡眠モデルの呼吸動態評価を行なった。 GOF麻酔下に上位脳を中脳前縁で離断した無麻酔除脳ネコ自発呼吸標本を作成し標本の横隔膜、肋間筋、四肢筋筋電図、眼球運動をワイヤー電極にてモニターした。カルバコールを0.2μl微小注入ポンプを用いてガラスピペットにて吻側橋網様体核に注入した。 注入後数分で急速眼球運動(rapid eye movment:REM)を伴う四肢筋筋緊張低下が出現した(REM with atonia)。呼吸筋活動はコントロール値と比較し15%程度減少し、呼吸リズムも減少した。これらの変化はほぼ同時に出現した。その後セロトニン0.2μlを同部位へ注入すると、数分で急速眼球運動は消失し、四肢筋筋電図出現して筋緊張が回復した。呼吸筋筋活動、呼吸リズムはコントロール値に回復した。カルバコール、セロトニンの吻側橋網様体核への注入することによりヒトにおけるnon-REM、REM睡眠時の四肢筋筋緊張、眼球運動、呼吸運動の動態と極めて類似した結果を得た。これらの実験結果よりカルバコール、セロトニンの脳幹内注入除脳ネコを用いて人工的に睡眠・覚醒のサイクルをつくることが可能であり、このモデルはREM睡眠モデルとして問題がないと考えられた。 また平成10年度申請計画の予備実験も施行した。上記のモデルを用いて吻側橋網様体核にカルバコールを注入してREM睡眠が出現したことを確認後、経気管孔からCO2ガスを送り、血中CO2の濃度を上昇させた。数分後呼吸筋は活動を上昇させたがその後筋活動が消失し、呼吸を止めた。このような呼吸動態と呼吸筋筋活動の動態は中枢性無呼吸の状態に類似しており、この予備実験結果から平成10年度の計画を予定どうり遂行できるものと考える。
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